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「完全に詰んだ…」究極のサバイバル映画は? 絶体絶命の極限状態を描いた映画5選。アドレナリンが爆発する作品をセレクト

text by 編集部

今回は、究極の“詰んだ”シチュエーションを描いた映画をランキング形式で紹介。ちなみに“詰んだ”とは、物事が立ち行かなくなり、救済方法や解決方法が見つからない状況を言う。今回はそんな極限状態で、何度も「もう終わりだ…」と思わせられる、最後の最後まで気が抜けない、観ると猛烈に疲れる映画5選を紹介する。

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飛行機事故で無人島に漂流…。
命からがら社会復帰するも妻は他人のもとへ

5位『キャスト・アウェイ』(2000)”詰み度”70%

原題:Cast Away
製作国:アメリカ
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:ウィリアム・ブロイルズ・ジュニア
キャスト:トム・ハンクス、ヘレン・ハント、ニック・サーシー

【作品内容】

本作は、搭乗していた飛行機が墜落し、無人島にたった一人で漂着した男が、生き残りをかけ、さまざまな困難に打ち勝ち、無人島で生き抜く姿を描いたサバイバルドラマ。

運送会社のシステムエンジニアとして世界中を飛び回るチャック・ノーランド(トム・ハンクス)は仕事も順調、順風満帆な日々を送っている。彼はアメリカのテネシー州メンフィスに住んでいるケリー・フレアーズ(ヘレン・ハント)と長年付き合っており、結婚を間近に控えている。

家族と過ごすクリスマスの最中、ノーランドはマレーシアでのトラブル解決のため呼び出される。悪天候のため、彼の乗った貨物機は、嵐の中、太平洋に墜落。沈みゆく機体からただ一人脱出し、緊急用救命ボートに乗り込み意識を失う。

一夜明け気付くと、ある島の海岸に漂着していた。仲間を探しても、誰も見つからず、助けも来ない。ノーランドは、自分が流された場所は無人島で、独り取り残されたことが分かり、茫然とするのだが…。

【注目ポイント】

映画「キャスト・アウェイ」劇中写真【Getty Images】

主人公・ノーランド(という役名からして意味深である…)は、最先端技術を駆使するシステムエンジニアだが、コンピューターどころか食器や机もない無人島では何もできない。しかしこの男、詰んでもただでは起きない。ヤシの実を見つけては岩に叩きつけて果汁を絞りとり、木の枝を紙に擦りつけて火を起こし暖をとる。

幾多の試練を自力で乗り越え、無人島を力強くサバイブするノーランドだが、孤独からは逃れられない。そんな中、心の拠り所になるのは、バレーボールに髪の毛を模した草木をくっ付け、目と鼻と口を描いた「ウィルソン」だ。ウィルソンはノーランドの孤独な無人島生活における無二の親友となる。

自家製の小型ボートで脱出を試みるノーランドだったが、その際に、荒波に巻き込まれたウィルソンとの別れが描かれる。相手はたかがバレーボール。観客はそれを十分すぎるほどわかってはいても、主人公の気持ちに同一化しているため、不意の別れに思わず涙がこぼれる。ちなみに、撮影で使用されたウィルソン社製のバレーボールは、本作の熱心なファンによって23万ポンド(約3500万円)で落札された。

4年間にも及ぶ無人島での生活を終え、主人公は現実社会に復帰する。本作が素晴らしいのは、ノーランドが社会復帰を果たした後の人生も丹念に描いている点にある。ノーランドはすっかり亡くなったものと思われており、妻は他の男と再婚していた。不在の4年間で彼を取り巻いていた状況は劇的に変化しているのだ。ノーランドは無人島から脱出して果たして、幸せだったのか…。本当に”詰んだ状況”は現実社会にあるのではないか? 観る者に奥深い問いを投げかける名作である。

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