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サバンナで血に飢えたライオンと鬼ごっこ…。
“陸のジョーズ”と名高いサバイバル映画

4位『ビースト』(2022)”詰み度”80%

原題:Beast
製作国:アメリカ
監督:バルタザール・コルマウクル
脚本:ライアン・イングル
原案:ジェイミー・プリマク・サリバン
キャスト:イドリス・エルバ、シャルト・コプリー、イヤナ・ハリー、リア・ジェフリーズ

【作品内容】

アフリカの広大なサバンナを舞台に、凶暴なライオンに襲われた一家の父親が娘を守るために戦う姿を描いたサバイバルアクション。“陸のジョーズ”と化した残忍なモンスターライオンと人間との闘いを描く。

妻を亡くして間もない医師のネイト・ダニエルズは、ふたりの娘たちを連れ、妻と出会った思い出の地である南アフリカに旅行へ出かける。現地で狩猟禁止保護区を管理する旧友の生物学者マーティン・バトルズ(シャールト・コプリー)と再会し、彼の案内で広大なサバンナに出かけたが、そこには密猟から生き残り、凶暴化したライオンが潜んでいた。

彼らはサバンナでのドライブの道中で住民たちの死体を発見する。重傷を負い、何かから逃げる生き残りの住民は、怯えながら「ディアボロ(悪魔)」とつぶやきながら息絶える。その正体はたった1頭のライオンだった。密猟者に仲間を殺され、人間への憎悪に満ち、人間を食べずにただ引き裂いて殺すことだけを目的にした残忍なモンスターと化していたのだ…。

【注目ポイント】

主演のイドリスエルバGetty Images

猛獣が闊歩する檻の中に突然、放り込まれたら…。そんな妄想をより過激にして映像化したのが本作。相手は百獣の王・ライオン。しかもただのライオンではない。主人公を襲うのは、獣の獰猛さと人間と見紛うような知恵を併せ持ったハイブリッドなモンスターなのだ。

そんなモンスターがなぜ生まれたのか? それは、密猟者によって、自分たちの世界を荒らされ、仲間を殺され、人間を憎むようになったことがきっかけだ。人間はすべて敵とみなしたライオンは悪魔の獣と化す。ライオンの側にも動機があるのだ。そして、当然ながら、この地球は人間だけのものではない。ライオンのものでもある。もちろん、それは自然界全体の問題にもつながる。

人間がこの地球で、自然の摂理に反した行動を取れば、思わぬ形でしっぺ返しを食らうことになる。本作は「人間対ライオン」という単純な図式ではなく、人間が自然とどう付き合っていくべきかを示唆している。日頃は文明に守られているから気づかないが、広大な自然の中に放り込まれれば、人間は一瞬にして”詰む”。そうした真理を思い知らせてくれる作品だ。

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