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2023年、期待はずれの爆死映画は? 大コケ作品5選【洋画編】こんなはずじゃなかった…低空飛行に終わった理由も考察

text by 編集部

2023年に最も話題となった映画は、宮崎駿の『君たちはどう生きるか』ではないだろうか。他にも『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』『ゴジラ-1.0』など、コロナ禍も明けて再び映画の勢いが復活した年だった。一方、期待外れだった作品も。今回は大コケした海外映画を5本セレクト。その理由についても解説する。(文・市川ノン)

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公開前に不運な炎上…。日米の文化の違いも敗因か

『バービー』

上映時間:114分
監督:グレタ・ガーウィグ
脚本:グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック
出演者:マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング

【作品内容】

世界的人気を誇る着せ替え人形「バービー」を実写化。監督は『レディ・バード』『ストーリーオブマイライフ/わたしの若草物語』などのグレタ・ガーウィグが務めた。

バービーたちが暮らす「バービーランド」では、みなが「バービー」と「ケン」と呼ばれ、幸せに暮らしている。しかし、自身の体に異変を感じたあるバービー(マーゴット・ロビー)は、その原因を探るためにケン(ライアン・ゴズリング)と共に人間界へ旅に出る。

バービーランドとは全く違う男性優位な人間世界で、ふたりは思わぬトラブルに巻き込まれ、バービーランドにも影響が及んでしまう……。

【注目ポイント】

マーゴット・ロビー
マーゴットロビーGetty Images

2023年、アメリカで最大のヒット作となった「バービー」。米国内興行収入は6億ドルを超え、「アベンジャーズ」(2012年)を抜いた。さらに、世界興行収入では歴代14位となる14億ドルを稼ぎ出していることから、近年稀に見るヒット作となったのは言うまでもない。

しかし、そんなグーローバルな動向とは異なり、日本国内では初週8位と出遅れ、3週目にはトップ10入りもしない低調ぶりだった。

その大きな原因は公開前の炎上だろう。今作は、原爆の父と呼ばれる物理学者のロバート・オッペンハイマーの人生を描いた「オッペンハイマー」と米国で同日公開されていた。これにより、両作を続けて見る“バーベンハイマー”という造語まで生み出され、SNSではバービーと原爆を合成した画像も投稿もされるほどだった。しかし、その投稿に、今作の配給元であるワーナー・ブラザーズ公式アカウントが「思い出に残る夏になりそう」などという好意的な内容を返信したのだ。

これが日本人の逆鱗に触れ、国内を中心に批判が高まったのである。この騒動によって、映画自体への印象が悪化し、プロモーションも制限され、客足に繋がらなかったのだろう。

また、そもそも玩具としてのバービー人気が高い米国の反し、日本では「リカちゃん」などのほうが馴染み深い点も文化的な差異があった。バービーが根付いていない点ことも、日本でふるわなかった一因だろう。

一方、作品内容においても社会的であったため、日本の多くの観客には刺さらなかったのかもしれない。今作では人間界の男性優位社会に触発されたケンが、男尊女卑ゴリゴリの国をバービーランドに作ってしまう。それにバービーが対抗し、女性たちの洗脳を解く物語でもあり、社会的な映画としても受け入れられている。

男女の権利を平等にするようなムーブメントは世界的に高まってはいる。しかし、やはり日本においてはまだまだアメリカなどとは温度差があるのは、ジェンダーギャップ指数などを見れば明らかだ。

そんな社会においては、映画を見終わった後にジェンダーについてアツく議論したいカップルなどは当然少数派。そうしたストーリーを知った観客が敬遠してしまったのは想像に難くない。

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