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自身の作風に多大な影響を及ぼした“とにかくバカな映画”

『26世紀青年』(2006)


出典:Amazon

―――2本目に挙げたのが、コメディ映画『26世紀青年』。原題は「Idiocracy」。直訳すると“バカげたこと”といった意味です。

「この作品は、僕の漫画スタイルの方向性を決めたと言ってもいい人物の1 人である、マイク・ジャッジ先生※による作品です。まあ、余談でありますが、まず、邦題からして、時を同じくして当時、元ネタの漫画『20世紀少年』の連載時に、僕も同じ雑誌で『THE3名様』を描いておりまして。で、当時の担当の編集者に勧められて観たところ、めちゃくちゃ面白くて。現代のバカなやつが、未来ではもっとバカなやつらが支配している世界にタイムスリップするという、本当にバカな設定の作品なのですが(笑)」

※アメリカで活動するアニメーター・声優。代表作は『ビーバス・アンド・バットヘッド』など。

マイクジャッジ監督Getty Images

―――バカがバカを呼ぶと(笑)。

「バカづくしですよ、ほんと!コストコが駅になっていたり、スタバがピンサロになっていたり、大統領がプロレスラーだったりと、状況設定が、もう無茶苦茶(笑)。バカな未来人は畑に栄養ドリンクを撒いているんですが、主人公は水を普通に撒いて、『そんなのはおかしい!』と、死刑になりかけてコロシアムで戦闘が始まるんですよ。でも、畑ではちゃんと芽が生え始めて、『お前はすごい!』と賞賛を浴びるという。なんか、今のSNS上での炎上や、手の平返しの世の中の風潮にも似ているかなと」

―――深いですね!

「いや、深くはないんじゃないすか(笑)。ただ、バカを追求しているだけで。でも、マイク・ジャッジ監督のスタイルには、一生着いて行きたいと思わせるものがあるんですよ。ITベンチャー企業を扱った『シリコンバレー』というきちんとしたドラマもつくっていますし。彼がやっているなら、僕もやっていいんだって、素直に憧れることができる。そんなことを思わせてくれる人物であり、作品ですね」

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