中村倫也“陣内”に沼る…バトルに終始しない『DOPE 麻薬取締部特捜課』の魅力とは?第3話考察&感想レビュー【ネタバレ】

text by まっつ

髙橋海人と中村倫也がW主演のドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)が放送中だ。正反対バディが新型ドラッグ【DOPE】によって巻き起こる不可解な事件の解決に挑む、新時代の麻取アクション・エンターテインメント。今回は第3話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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静かな緊張感漂う『DOPE 麻薬取締部特捜課』第3話

『DOPE 麻薬取締部特捜課』第3話©TBS
『DOPE 麻薬取締部特捜課』第3話 ©TBS

 TBS系金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』第3話はアクションシーンが目立ちながらも、静かな緊張感が生まれてきた。

「ドーパー」による異能力バトルが魅力の本作品。あまりにまっすぐすぎる感想となった恐縮だが、まず語りたいのは、第3話でも中村倫也演じる陣内がとにかくかっこいいということだ。

 DOPEの密売人・ジャヒド(植野行雄)との接触に成功した特捜課。しかし、ジャヒドは捕まる直前となってDOPEを服用。電気を操ることができる「エレクトロニクス」の能力が覚醒し、特捜課の面々に襲いかかる。

 工場内の身の回りにあるものを次々と投げつけてくるジャヒドに対して防戦一方となる中、陣内一人だけは違う。「超視力」を使って、挑発的な身振りとともに「当ててみろよ」という言動は思わず男心をくすぐってくる。フィクション作品的には、調子に乗りながら一発くらい食らってもお釣りが来るキャラとしてのかっこよさなのだが、こと本作に関して陣内のバトルスキルは随一。彼と「腕力」の異能力を持つ綿貫(新木優子)の活躍で一気に特捜課が押し返していくのだった。

注目したいバトルシーンは?

『DOPE 麻薬取締部特捜課』第3話©TBS
『DOPE 麻薬取締部特捜課』第3話 ©TBS

 さらに、語らなければならないバトルシーンは他にある。農業法人タカノフィードと中南米を拠点とする麻薬カルテル“ロス・ティグレス”がつながっていることを突き止めた特捜課。敵のアジトへ踏み込んでカルテル構成員たちとの戦いへと突入していく。しかし、才木(髙橋海人)がドーパーだった社長(久保田悠来)のテレパシーによって操られ、陣内に襲い掛かることに。

 才木と陣内による白熱の肉弾戦は紛れもなく第3話のハイライトだろう。だが、それ以上に刺さったシーンは直後。才木を襲った銃弾を、陣内が銃弾で当てて弾き返す。超人技の後にも目を光らせながら「はあ…」と呟くだけなのはさすがに痺れる。もはやヒーローといって差し支えない陣内の活躍ぶりには毎話驚かせられ、同時に興奮してしまう。

 アクションシーンだけでも見応え十分だが、単なるバトル作品に終始していないのは明らかで、人間同士の不信という要素が加わってきたことも興味深い。

 捜査一課の管理官・椿(忍成修吾)は陣内に「DOPE服用の疑惑」をかけており、才木に陣内を見張るように頼む。

 バディとして徐々に距離を縮め、陣内の暗い部分も同情すべき部分も知ってしまった才木にとって、その任務は簡単ではない。それでも、才木が陣内を見つめる視線は疑り深くなっているようで、歪んでいく可能性さえある2人の関係性が一気にドラマに緊張感を与えている。

敵か味方か…真の悪党は?

『DOPE 麻薬取締部特捜課』第3話©TBS
『DOPE 麻薬取締部特捜課』第3話 ©TBS

 もっとも、陣内が単なる悪党であると考えることは難しく、むしろ椿の怪しさが強調されたことは言うに及ばない。裏で金を巻き上げるなどの悪徳ぶりを見せており、現時点で味方か敵かと問えば、敵寄りにあると言える。

 そして、新たに明らかとなった「5億円事件」。陣内にとって妻殺しの事件とも密接に絡んでいるともみられ、真の黒幕は椿なのか、それとも一見味方に見える陣内の親友の捜査一課巡査部長・戸倉俊仁(小池徹平)なのか、はたまた……。いずれにせよ警察内部はすでに真っ黒で、特捜課以外の人間の言葉を鵜呑みにしないほうがよさそうだ。

 すでに陣内は私たち視聴者の先を行っており、椿もマークしていた模様。彼女への思いと犯人への復讐の念はいまなお色褪せることなく、彼の心のうちに秘められている。それは第3話冒頭で見せた才木との激しい口論からもうかがい知ることができ、復讐こそが正義と信じて疑わない様子だ。

「犯罪は許せない」と語る才木とはいまだ明確な対立構造にある。特捜課の仲間でありながら、見張り見張られる者、そして志が異なる者という2人。彼らにどのような結末が待っているのか、最後を予想することはできない。

【著者プロフィール:まっつ】

1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。

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【了】

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