「自分の知らない感情を出すことができました」ドラマ『情事と事情』出演・佐藤寛太が語る、表現力について。単独インタビュー
小手鞠るいによる小説を原作としたドラマ『情事と事情』が、映像配信サービス「Lemino」にて12月5日より配信中だ。大人たちの秘めた“情事と事情”が複雑に絡み合う恋愛群像劇となっている本作。今回は、カメラマン・世良晴人役を演じた佐藤寛太さんにインタビューを敢行。本作への思いをお聞きした。(取材・文:タナカシカ)
演じて感じるキャラクターの二面性
ーーー本作は、小手鞠るいさんの原作をもとに作られていますが、脚本を初めて読んだ時の感想をお聞きできますか? 佐藤さんは、本をよく読まれるそうですが、原作は知っていたのでしょうか?
「はい、読んでいました。原作は登場人物が非常に多く、それぞれの物語がシンクロしながら進んでいくんです。小説とドラマではそれぞれ魅力が少し違いますが、本作の脚本は映像として想像しやすい形になっていました。
冒頭のシーンで、メインキャラクター全員が映るカットがありますが、1つの部屋に、いろんな人生を背負った7人が集まってくる…。脚本を読んだ時、物語全体の魅力が凝縮しているシーンだと思って、とても素敵だと感じました」
ーーー私も拝見しましたが、先ほどおっしゃったワンショットの中に作品の全体像がギュっと凝縮されていると思いました。今回佐藤さんは、カメラマン・世良晴人を演じられました。世良というキャラクターをどのように解釈しましたか?
「世良は、目の前の人だけを大切にするので、すごく真っ直ぐな人物ではありますが、その真っ直ぐさがたまに人を傷つける方向に向かってしまうこともあるんですよね」
ーーー今回演じられた役と佐藤さんご自身で、似ているところや共感する点などはありましたか?
「僕も世良と同じように、人と会ったり話したりするのが好きなんですよね。そこに共感できました。でもあんなに人が好きなキャラクターなのに、人を撮るのではなく、廃墟を撮るのが好きなんですよ。そこに矛盾があって、キャラクターを深くしていると思いました。
僕も、人と楽しく会話することは好きですが、やりたい作品が明るく楽しいものだけではありません。人間って、状況や相手に合わせていくものを見つめていると思うので、その点にも共感しましたね。 だから、世良のような二面性のあるキャラクターを演じるのは、とても楽しかったです」