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家族ゲーム 配役の魅力

沼田家の家庭教師・吉本はいつも植物図鑑を持ち歩き、差し出された飲み物は常に一気飲み。ボソボソとした話し声と無言で繰り出される鉄拳制裁など、風変わりな点を挙げたらキリがない。吉本役の松田優作はアクの強い役柄を上手く演じる、という次元を超えて、後世に語り継がれるキャラクターを見事にクリエイトしている。

沼田家の父・孝助を演じた伊丹十三は、偉ぶるわりには教育や躾に深く関わろうとしない身勝手な父親像を鮮やかに体現。吉本と孝助が横並びで食事をする場面は、表向きはにこやかであるものの、お酌をするタイミングがまったく合っておらず、心根の部分ではギクシャクした関係であることが手に取るようにわかる名シーンである。

母・千賀子を演じる由紀さおりは、子供思いだが抜けたところのある主婦を好演。普通に考えると、吉本のようなアクの強い男に子供の家庭教師を任せる母親の気が知れないところだが、おっとりとした由紀さおりの芝居を見るにつけ、妙に説得されてしまうから不思議だ。

歌手の戸川純演じる近所の奥さんが、白昼に突然沼田家を訪問する中盤のシーンでは、「自分の家のことだけじゃなくて、他人の家のことも心配してください!」と出し抜けに罵倒され、噛み合わないやり取りが狂気的である。

茂之役の宮川一朗太は本作で銀幕デビュー。演技に不慣れである分、得体の知れない吉本に対して抱く戸惑いがこの上なく生々しく表現されている。

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