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湘北ががカッコいいのはただただ、彼らのプレーが輝いていたから

スラムダンクに話を戻す。ここまで当たり前のようにネタバレをかましてきたが、何度でも言おう「湘北は山王に勝つ」。しかし、5人がカッコいいのは湘北が勝ったからではなく、ただただ、彼らのプレーが輝いていたからだ。それ以上でもそれ以下でもない。机に突っ込む花道、無謀にも沢北との1on1を挑む流川、ゴール下で自分らしさを取り戻す赤木、限界でもスリーを放ち続ける三井、そして心臓バクバクでも前に進むことをやめない宮城…。彼らのプレーだけが、彼らの人生の強烈な具体としてあって、燦然と輝いていた。

スポーツでも、ビジネスでも、“勝ち”を求められるのはこの世の原理原則。しかし、トーナメントはその象徴だが、ほとんどの人は負けていく運命にある。それでも、それはあくまで 「そのゲームの」WinnerとLoserを決めるだけであって、自分自身の価値や、その価値が誰かに影響を与えるかどうかはまったく別のお話。

インターハイ3回戦負けでも、これだけの間、僕たちを鼓舞してきた彼らの存在は、2023年になっても少しも色褪せていなかった。スポーツの世界で生きていく僕は、これからも勝敗というモノサシを向けられ続ける。負けることもあるだろう。それでも、自分を認め、願わくは誰かに感動を届けられるような存在でありたい。改めてそう決意し、歌舞伎町を抜けて帰路に着くのであった。

(文・井筒陸也)

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