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CGに頼らない“ホンモノ志向”の画作り〜映像の魅力

撮影監督のウォーリー・フィスター
撮影監督のウォーリーフィスターGetty Images

本作では映像のリアリティを高めるため、CGを極力使わないフィルム撮影にこだわった絵作りが徹底されている。

例えばコブがアリアドネの夢に入り彼女の前で設計士としてのレクチャーを行うシーンを見てみよう。このシーンでは、市場の店頭に並ぶ野菜や果物が弾け飛んで空に舞い上がる場面が印象的だが、現場では実際に高圧の窒素でこれらを吹き飛ばす様子が6倍速の高速撮影で収録されたという。

あるいは、第一階層の夢の中でコブたちがカーチェイスをしている最中で、突然貨物列車が侵入してきて車を弾き飛ばしていくシーン。この撮影では、本物の列車からとったファイバーグラス製の型を大型のトレーラーにかぶせて実際に路上を走らせている。

そして極め付けは、ホテルの廊下でアーサーと追っ手が床から壁、天井へとぐるぐる回りながら取っ組み合うシーン。スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』をほうふつとさせるこの場面では、長さ30メートルの廊下のセットが作られ、廊下を撮影するカメラもセットに固定。これを強力な大型モーター2基で回転させることで、無重力を表現したという。

また、撮影ではロサンゼルスをはじめ、モロッコや東京、ロンドン、カナダなど、計6カ国で撮影が敢行。さまざまな国の景観を楽しめるのも本作の特徴の一つである。

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