まさに神業…。心震える演奏シーンは必見。映画『デュオ 1/2のピアニスト』評価&考察レビュー。嘘みたいな実話…稀有な魅力を解説

text by 阿部早苗

『コーダ あいのうた』のプロデューサー最新作。実在するフランスの双子の天才ピアニスト、プレネ姉妹の数奇な運命と人生を描いた、映画『デュオ 1/2のピアニスト』が公開中だ。本作の見どころを解説する。(文・阿部早苗)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

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【著者プロフィール:阿部早苗】

神奈川県横浜市出身、仙台在住。自身の幼少期を綴ったエッセイをきっかけにライターデビュー。東日本大震災時の企業活動記事、プレママ向けフリーペーパー、福祉関連記事、GYAO トレンドニュース、洋画専門サイト、地元グルメライターの経験を経て現在はWEB媒体のニュースライターを担当。好きな映画ジャンルは、洋画邦画問わず、社会派、サスペンス、実話映画が中心。

双子の姉妹ピアニストを襲う悲劇

© 2024 / JERICO - ONE WORLD FILMS - STUDIOCANAL - FRANCE 3 CINEMA
© 2024 / JERICO – ONE WORLD FILMS – STUDIOCANAL – FRANCE 3 CINEMA

 実在する双子の天才ピアニスト、プレネ姉妹の数奇な運命と人生をモデルに、『コーダ あいのうた』(2002)『エール!』(2014)『ふたりのマエストロ』(2022)などを手がけたフィリップ・ルスレがプロデュースした本作。手が不自由になる遺伝性の難病によって絶望の淵に立たされた姉妹の苦難と葛藤、そして誰にも真似できない唯一無二の演奏法を生み出した実話に基づく物語だ。

 幼い頃からピアノに情熱を注ぎ、共に歩んできた双子の姉妹、クレール(カミーユ)とジャンヌ(メラニー)。父の厳しい指導のもと才能を磨き、名門カールスルーエ音楽院へ進学するもクラス分けでピアノ講師であるフィッシャーに選ばれたのは姉のクレールのみだった。

 それまで離れることのなかった2人が初めて別々になる。それから厳しい練習の日々を送ることになったクレールは、突如激しい手首の痛みに襲われる。掴んだチャンスを手放したくない彼女は痛みを我慢して弾き続けるも限界が訪れる。やがて手の不調は遺伝性の難病に起因することが明らかになる。

 そんなクレールの代わりにレナート先生が選んだのは妹のジャンヌだった。この状況に妹を支えてきたクレールは穏やかな気持ちではいられない。2人はすれ違うようになるが、ジャンヌもまた手の症状があらわれてしまう…。

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