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書物と向き合う姿勢を改めるきっかけに
風光明媚なイタリアの風景にも注目

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店主リベロは、ジャンルを超えた知識を、移民や社会的弱者に授け続ける。ゴミ箱から本を漁り、売りに来る人、お金がなくて買えないけど本が大好きで医者になることを夢見る移民の少年、希少本を探しに来る大学教授、こだわりの本を探す人など、一見風変わりな客を温かく迎え入れ、皆の心の拠り所になる。

そんなリベロの姿は、登場人物のみならず、スクリーンを見つめる者の心も豊かにしていくようだ。この映画は、移民問題にも焦点を当てており、エンシエには誰にも言うことができない悲しい過去がある。しかし店主のリベロは、異邦人である彼を受け入れて、温かく見守っていく。

解決困難な移民問題を取り上げながら、人と人との繋がりや、助け合いの大切さをシンプルに表現している。映画の舞台となっている、イタリアの美しい風景も魅力的であり、観ているとついつい、風光明媚な街の一角でひっそりと古本屋を営むリベロの生活が羨ましくなってしまうほど。

予算をふんだんに使った、起承転結の激しい大作映画も素晴らしいが、映画『丘の上の本屋さん』は、肩の力を抜いて楽しめる小品。何より作り手の書物と知性に対する尊敬を強く感じる。本作を観ることは、書物と向き合う姿勢を改めるきっかけになるかもしれない。

(文・吉田健二)

【作品情報】
『丘の上の本屋さん』
監督:クラウディオ・ロッシ・マッシミ
出演:レモ・ジローネ、コッラード・フォルトゥーナ、ディディー・ローレンツ、ピノ・カラブレーゼ、フェデリコ・ペロッタ
2021年|韓国映画|韓国語|108分|5.1ch|シネスコ
原題:Il diritto alla felicita
配給:ミモザフィルムズ
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