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韓国を代表する巨匠『イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K』が開催決定。全作品4Kレストア&新作ドキュメンタリーも上映

text by 編集部

『シークレット・サンシャイン』『バーニング 劇場版』を手がけた、韓国を代表する巨匠イ・チャンドンの人生に迫る新作ドキュメンタリー映画と共に、全作品が初の4Kレストアで上映されることが決定した。8月25日より全国順次公開される。今回、ティザービジュアルが解禁された。

イ・チャンドン監督自らが辿る原点と歩み

CMOVIE DA PRODUCTIONS PINEHOUSE FILM CO LTD 2022

韓国を代表する巨匠イ・チャンドン。代表作『シークレット・サンシャイン』『バーニング 劇場版』を含む全監督作6作品、そしてフランスのドキュメンタリー映画監督アラン・マザールと共に製作したイ・チャンドン自らが過去作を振り返り、創作活動の原点とその歩みを見つめる日本初公開の新作ドキュメンタリーで編成されたイ・チャンドンの本格的な特集上映『イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K』が 8/25(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町他、全国順次公開される。

イ・チャンドン作品に魅了されたフランス人ドキュメンタリー映画監督の発案でスタートしたプロジェクトは、コロナ禍での困難を逆手に取る形で当初被写体であったはずのイ・チャンドン監督が、彼の制作会社パインハウス・フィルム全面協力のもと水先案内人として本作に深く携わる。

新作ドキュメンタリー映画『イ・チャンドン アイロニーの芸術』(監督:アラン・マザール)は、43歳にして小説家から映画監督に転身した異色のキャリアを、かつてないほど率直なイ・チャンドン本人の述懐、ゆかりの地にふたたび自ら足を運ぶ“聖地巡礼”だ。

これまでのフィルモグラフィーを彩ってきた豪華俳優陣ソル・ギョング、ソン・ガンホ、チョン・ドヨン、ムン・ソリ、ユ・アイン他、錚々たる顔ぶれも次々と登場し撮影当時を振り返る。自身のこれまで語られることのなかった芸術に対する思い、揺れる時代に向き合い芽生えたアイデンティティ、創作の原点に迫る――。

もう一度観返したくなる、初めての作品に触れたくなる、新作を撮るごとに世界中から熱い注目を集める寡作な巨匠の記憶の深淵を旅する圧巻のドキュメンタリーが誕生!

4Kレストアで堪能する珠玉の全6作品!

初の本格的なレトロスペクティヴの上映プログラムは、イ・チャンドンの名を初めて世界に知らしめた初期の傑作(過去唯一4Kで上映)『ペパーミント・キャンディー』(99)に加え、第71回カンヌ国際映画祭〈国際批評家連盟賞〉受賞作『バーニング 劇場版』(18)、韓国を代表する巨匠イ・チャンドン、全作品が初の4Kレストアで同時上映!

第63回カンヌ国際映画祭〈脚本賞〉受賞作『ポエトリー アグネスの詩』(10)、第60回カンヌ国際映画祭〈主演女優賞〉をチョン・ドヨンにもたらした『シークレット・サンシャイン』(07)、第59回ヴェネチア国際映画祭〈最優秀監督賞〉ほか数々の賞に輝いた『オアシス』(02)、そして長編デビュー作『グリーンフィッシュ』(97)が新たに4Kで蘇る。

これらはすべて、韓国にてイ・チャンドン監督自らがレストア作業を担当。修復の様子は、新作『イ・チャンドン アイロニーの芸術』でも垣間見る事ができ、4Kに対する監督のこだわりを感じられる。日本での初のレトロスペクティヴ上映の開催決定に際し、イ・チャンドン監督からコメントが寄せられた。

「(レストア作業は)映画を保存するため、過去の映画と新たな観客と出会い結び付けるためにも、必須だと思います。元々のクオリティを維持するための綿密な作業には時間と費用を要し、その映画に関わった監督やスタッフが作業に携われない場合もありますが、幸いなことに、私は今回その機会を得ることができました。当時の映像の雰囲気や印象、そして感情を味わえることに努めてアップグレードしましたので、そこに注目して観てもらえたらと思います。

(今回の日本での上映について)とても嬉しく、大きな期待を寄せています。私はいつも韓国のほか日本、欧米など遠くにいて違う文化圏にいる観客であっても、人間であれば、根本的に共有や理解、意思の疎通ができると思っています。今回のレトロスペクティヴを通して、私たち人間について、人生について、皆さんと分かち合えればと思います。新しい日本の観客の皆さんとお会い出来ることを楽しみにしています。

上映プログラム作品と呼応するような新作ドキュメンタリー映画『イ・チャンドン アイロニーの芸術』とともに、イ・チャンドンの映像世界を存分に味わうことのできる珠玉のレトロスペクティヴ。海外映画祭の監督特集や企画展などを除けば、この日本でのイベントが一般上映としては世界初となる。

イ・チャンドンに魅了されてきた長年のファンにとっても、その深遠な作品世界をこれから深掘りしていく若い世代の観客にとっても、またとないこの貴重な機会に是非劇場のスクリーンで堪能してほしい。

また、今回のレトロスペクティヴ開催に先立ち、イ・チャンドンが1992年に発表した小説集「鹿川(ノクチョン)は糞に塗(まみ)れて」の邦訳版が、アストラハウスより7月28日に発売される。

本書に収録される表題作と中篇「星あかり」については、ドキュメンタリー『イ・チャンドン アイロニーの芸術』本編で、著者自らが舞台となった土地を案内しながら執筆当時を語るシーンもある。映像だけでなく、文学としてもイ・チャンドン作品を楽しむ事ができる、この機会をぜひお見逃しなく。

「鹿川(ノクチョン)は糞に塗(まみ)れて」(著:イ・チャンドン/翻訳:中野宣子)

発売日:7/28 定価:2,600円+税
出版社:アストラハウス

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