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画面に満ち溢れた監督の“ミュージカル愛”~演出の魅力

監督を務めたデイミアン・チャゼル
監督を務めたデイミアンチャゼルGetty Images

本作は、『セッション』のデイミアン・チャゼル監督による恋愛ミュージカル映画。主演はライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが務めた。

なお、本作は、公開当時、評論家から「2016年最高の映画」と評され、第74回ゴールデングローブ賞では7部門すべてを獲得。第70回英国アカデミー賞では11部門でノミネートを受け6部門を受賞するなど、数々の賞を受賞している。

本作の特徴は、何より過去の膨大なミュージカル映画からの引用だろう。例えば冒頭、ハイウェイの渋滞で人々が踊り出すダイナミックなシーンを観てみよう。ミュージカルナンバー『ロシュフォールの恋人たち』を、グリニッジ天文台で2人が星空の中を舞うシーンは『ムーラン・ルージュ』のオマージュ。本作では、他にも『雨に唄えば』や『バンド・ワゴン』、『世界中がアイ・ラヴ・ユー』など、過去のミュージカル映画のエッセンスがふんだんに盛り込まれている。

これだけではない。例えば、女優を目指すミアのセリフには、『汚名』『カサブランカ』『赤ちゃん教育』などの1940〜50年代の古き良きアメリカ映画が登場。加えて、彼女の部屋の壁には、イングリッド・バーグマンの肖像が大写しでプリントされている。

そういった意味で本作は、監督自身のミュージカル愛が炸裂した、「ミュージカル好きの、ミュージカル好きによる、ミュージカル好きのためのミュージカル映画」といえるかもしれない。

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