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ドラマ史上最高の“フラれ役”は? 不憫な役がハマった俳優(2)負け顔が可愛すぎる…視聴者を狂わせた男

text by かんそう

視聴者の胸を打つ恋愛ドラマにはどんな条件があるだろうか。主人公やヒロインの見た目や性格が良い? 設定が面白い? どれも大事な要素だ。しかし、筆者が考える条件は、ある意味で主人公よりも魅力的な「最高の当て馬がいる」ことだ。そこで今回は、扱いがいつも不憫だけど愛すべき当て馬俳優を5人セレクトして紹介する。(文・かんそう)

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その名を世に広く知らしめたなんとも素晴らしい「負け顔」

●赤楚衛二『彼女はキレイだった』

赤楚衛二
赤楚衛二【Getty Images】

脚本:清水友佳子、三浦希紗
演出:紙谷楓、木下高男、松田祐輔
出演:中島健人、小芝風花、赤楚衛二、佐久間由衣、髙橋優斗、宇垣美里、寒川綾奈、村瀬紗英、山田桃子、LiLiCo、木村祐一、菅原大吉、本多力、片瀬那奈

 今や主人公としてドラマ出演多数の赤楚衛二だが、赤楚の名を世に広く知らしめた作品は間違いなくドラマ『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系、2021)での当て馬役だろう。

 廃刊寸前のファッション雑誌編集部に所属しているドS副編集長・長谷部宗介(中島健人)と、そこに配属された冴えない新人・佐藤愛(小芝風花)のラブストーリーである本作は、初恋の2人が時を経て「別人」となり再び巡り合う様子が描かれる。そんな2人の恋愛に待ったをかける存在として登場したのが赤楚演じる樋口拓也だ。

 樋口は編集部のムードメーカーで、部署の誰に対しても優しく周りを太陽のように照らしているが、意見がある時は直属の上司だろうが遠慮なく向かっていく頼れる存在。そんな樋口は物語序盤から佐藤愛に恋しており、幾度となくアプローチを試みるも全て「冗談」として流されてしまう哀しきピエロだった。

 ただ想いが届かないだけならいいのだが、樋口が名当て馬と呼ばれる一番の理由はその異常なまでの「察しの良さ」だった。宗介と愛、2人すら気づいていない気持ちを汲み取り、愛を応援したい気持ちと宗介に奪われたくない嫉妬心のはざまで葛藤するのだ。

 そんな樋口が輝いた一番の名シーンは6話である。ある日、愛が火災に巻き込まれてしまう。宗介はその報を受けると大雨にもかかわらず、ずぶ濡れで愛の元へと駆けつける。群衆の中で愛を見つけた宗介が、思わず彼女をギュッと抱きしめるシーンで流れる主題歌はSexyZone「夏のハイドレンジア」。そして、それを遠くから見つめるずぶ濡れの樋口。

 樋口改め赤楚の最大の魅力はその「負け顔」にあると私は睨んでいる。自分の想いが届かなかったとき、意中の相手が他の誰かに抱きしめられているとき、赤楚の顔は言葉以上に自分の感情を雄弁に語る。

このシーンでもまるで他人の犬をかわいがっている飼い主を見つめる子犬のような瞳で、愛と宗介を見つめていた。赤楚の少し潤んだ黒目がちの大きな目から放たれる「負け顔」は視聴者の心を鷲掴みにし、狂わせる。

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