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「”全裸の老夫婦”から怒涛の…!」ヤバい村を舞台にした迷作映画(4)。驚愕と不快感…逆転劇を描く良質エンタメ

text by ZAKKY
主演のバルバラコーレンGetty Imeges

近年は、清水崇監督による「恐怖の村」シリーズが話題を集めている。閉鎖的な空間で偏った思想に憑りつかれる住民たち、ジメジメした人間関係、奇妙な風習…。ホラー映画と“村”は実に相性が良いのだ。今回はアジア、ヨーロッパの作品を中心に、“ヤバい村”を舞台にした映画を5本セレクト。後味の悪さが際立つ迷作ばかりを揃えた。今回は第4回。(文・ZAKKY)

●地図上に存在しない村で巻き起こる惨劇

『バクラウ 地図から消された村』(2019)


出典:Amazon

監督:クレベール・メンドンサ・フィリオ、ジュリアーノ・ドルネレス
脚本:クレベール・メンドンサ・フィリオ、ジュリアーノ・ドルネレス
出演:バルバラ・コーレン、ソニア・ブラガ、ウド・キア

【作品紹介】
村の長老・老婆カルメリータが亡くなったことで、テレサは故郷の村バクラウに戻ってきた。しかし、テレサが戻ったその日から、村で不可解な出来事が次々と発生。インターネットの地図上から村が突然姿を消し、村の上空には正体不明の飛行物体が現れる。さらに、村の生命線ともいえる給水車のタンクに何者かが銃を撃ち込み、村外れでは血まみれの死体が発見される。めったに訪れることのない他所者が村を訪れたことをきっかけに、暴力と惨劇が幕を開ける。

【注目ポイント】
SF映画のような冒頭から始まり、近未来のブラジルが舞台であることがアナウンスされ、観ているうちに、寓話でありながらブラジルにおける格差社会の問題を描いていることがわかってくる。

侵略者たちの集団も白人を中心とした支配層側の人間をイメージさせる。しかし、彼らを村人が返り討ちにするという逆転劇を描くことにより、スリリングなエンターテインメントに仕立て上げているところが、見どころだ。

前半の村の葬儀や日常のシーンから、忍び寄るように広がっていく不穏な空気感。植物を愛でる全裸の老夫婦が登場するのだが、驚愕と不快感を覚える人も多いだろう。

しかし、彼らが銃で撃った相手に対して「痛そう 」とつぶやくシーンは、見ようによっては、笑える。そして、その老夫婦が出てきたあたりから、バイオレンス描写が畳みかけられる。

そこからの怒涛の展開には、観ていて戦慄が走ると同時にどこか爽快感すら感じられる。とはいえ、どこに向かっているのかわからないストーリーであり、まとまりも特にはないので、整合性は期待しないほうがいいだろう。

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