江戸の奇才・平賀源内が早速登場… 吉原との関係に胸が締め付けられたワケ。 NHK大河ドラマ『べらぼう』第2話考察レビュー
text by 苫とり子
横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)が現在放送中。貸本屋からはじまり「江戸のメディア王」にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く。今回は、第2話の物語を振り返るレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
吉原に客を呼び込む妙案とは?
「お前は何かしているのか、客を呼ぶ工夫を」
田沼意次(渡辺謙)の言葉で目の覚めるような思いがした“蔦重”こと、蔦屋重三郎(横浜流星)。『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第2回では、「吉原細見」で吉原に客を呼び寄せる案を思いついた蔦重が奔走する。
「吉原細見」とは、年2回発行されていた。いわば吉原のガイドブック。といっても、もともとは吉原の地図と引手茶屋、女郎屋、そこに所属している女郎の名前が載っている簡素なものだった。
今まで通りの内容だったら、人は呼び込めない。そこで、蔦重が目をつけたのは序文=まえがきの部分。誰もが思わず吉原に足を運びたくなるような序文を書いてもらおうと、蔦重はある人を探そうとする。
ある人とは、江戸の奇才・平賀源内だ。本草学者、医者、地質学者、蘭学者、発明家、画家、劇作家など、その肩書きを挙げると枚挙にいとまがない。どの顔にフォーカスするかは作品ごとに違っているが、本作の場合はコピーライターとしての顔。
1769年、源内は人に頼まれて歯磨き粉「漱石膏」の引札=チラシを書いたのだが、その宣伝文がすごかった。大雑把に訳すと「金に困って出したから、効くかどうかわかんない。でも、どうか、ひとつ助けると思って買ってちょうだい!」という、あけすけで全く売る気のなさそうな文章。だけど、粋で人情に厚い江戸っ子に刺さりそうなポイントをしっかりと押さえており、歯磨き粉は大流行となった。