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史上最高のどんでん返し映画は? 衝撃のラスト(2)まったく先が読めない…観客の度肝を抜くまさかのオチとは?

text by 編集部

小説や映画には「信頼できない語り手」という手法がある。これは、語り手の信頼度を低くすることで読者や観客をミスリードするというものだ。要するに人間は、現実を都合良くゆがめてしまう生き物なのだ。今回は、実は悪人だった「信頼できない」主人公を描いた映画5本をセレクト。驚愕のどんでん返しの一部始終を紹介する。※この記事では物語の結末に触れています。第2回。(文:編集部)

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一寸先が読めないハラハラドキドキの展開

『エンゼル・ハート』(1987)

ロバート・デ・ニーロ
ロバート・デ・ニーロ【Getty Images】

監督:アラン・パーカー
脚本:アラン・パーカー
キャスト:ミッキー・ローク、ロバート・デニーロ

【作品内容】

 1955年、ニューヨーク州ブルックリン区。私立探偵のハリー・エンゼル(ミッキー・ローク)は、ワインサップ弁護士を通じて紹介された謎の紳士ルイ・サイファー(ロバート・デ・ニーロ)から、人探しを依頼される。

 調査対象は、10年前に失踪したかつての人気歌手、ジョニー・フェイバリットだった。しかし、彼の行く先々で殺人事件が続発。事件の調査を進めるハリーだったが、最終的に思いもよらない事実に突き当たる―。

【注目ポイント】

 ボクサーから俳優に転身し、『ナインハーフ』(1986)の金融ブローカー役で女性の心をわしづかみにした俳優、ミッキー・ローク。そんな彼が、自身の内に眠る狂気を全解放した作品がこの『エンゼル・ハート』だ。

 原作は、あまりにも凄惨な内容から「悪魔のバイブル」と呼ばれ、配管運動も起こったウィリアム・ヒョーツバーグの小説『堕ちる天使』。監督は『ダウンタウン物語』(1976)のアラン・パーカーで、ミッキーの他にはロバート・デ・ニーロやリサ・ボネットらが名を連ねる。

 ブルックリンにあるとある探偵事務所から始まる本作は、一見すると『シャーロック・ホームズ』ばりの本格ミステリの雰囲気を漂わせている。しかし、ラストに近づくにつれ、この見立ては完全な間違いだったことに気づくはずだ。というのも、主人公の私立探偵ハリーこそ、彼が探すジョニー本人だったからだ。

 実はハリー、デ・ニーロ演じる悪魔と契約し、自身の魂を引き換えに歌手としての成功を手に入れるが、その後命が惜しくなって逃走。別人になりすまして生きていたのだ。

 そして、この一寸先も分からないスリリングな展開を存分に煽り立てるのが、ミッキーの鬼気迫る演技と、全編に横溢する禍々しい空気感だ。特に、換気扇の影や赤い窓、顔のない兵士といった細かなディテールで構築された不穏な世界観は見事で、観客の心を高鳴らせること請け合いだろう。

 なお、ミッキーが演じたハリー、元々は『シャイニング』(1977)でおなじみのジャック・ニコルソンが演じる予定だったという。鑑賞時には、ミッキーの姿をジャックに脳内変換しながら観るのも面白いかもしれない。 

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【了】

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