ドラマ『アンサンブル』第1話感想レビュー。無言の演技にみる松村北斗のスゴさとは? “メルヘン王国の住人”役がハマったワケ
text by 菜本かな
川口春奈主演、松村北斗共演のドラマ『アンサンブル』(日本テレビ系)が放送中だ。本作は、現実主義の弁護士・小山瀬奈(川口春奈)と、理想主義の新人弁護士・真戸原優(松村北斗)が織りなす異色のリーガルラブストーリー。今回は、第1話のレビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:菜本かな】
メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。
瀬奈(川口春奈)にとって恋愛とは?
「大人になって知ってしまった。愛というのは気まぐれで不確かすぎる。運命の出会いだとか、ときめきだとか、泣くほど好きとか、その人がいれば頑張れるだとか。そんなのは全部わたしには縁のないファンタジー。人生に恋愛なんてなくたっていい」
『アンサンブル』(日本テレビ系)第1話は、このようなナレーションから始まった。恋愛トラブル専門弁護士と呼ばれている瀬奈(川口春奈)は、コスパ・タイパ重視の現実主義者。「恋愛なんて、いちばんコスパが悪い。仕事で扱うくらいで十分」と恋愛から遠ざかっている。
瀬奈が恋愛に夢を見られなくなった理由は、両親の離婚と過去のトラウマにあるようだ。まず、過干渉な母・祥子(瀬戸朝香)は、浮気された経験があるため、「男はだいたいが浮気してるからね。そんで、浮気が本気になって家族捨てて出ていくの。信じられるのは自分だけ。ひとりで生きていけるようにならないと、幸せになれないよ」と瀬奈に言い聞かせている。
たしかに、恋愛に依存しすぎるのはよくない。しかし、「ひとりで生きていけるようにならないと幸せになれない=誰かといると幸せになれない」というわけではないと思う。それなのに、祥子は「瀬奈ちゃんだって、もう痛い目見たくないでしょ?」と娘を恋愛から遠ざけているように見える。