映画『野生の島のロズ』考察&評価レビュー。ロボットの感情を持つだけで終わらない…”プログラム”を超えた先で得たものとは?
text by 近藤仁美
アメリカの児童文学作家、ピーター・ブラウンが手がけた「野生のロボット」をアニメ化した長編映画『野生の島のロズ』が全国の劇場で公開中だ。今回は、ドリームワークス・アニメーション製作の本作の魅力を深掘りするレビューをお届けする。(文・近藤仁美)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:近藤仁美】
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供してきた。
国際賞「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『クイズ作家のすごい思考法』(集英社インターナショナル)、『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』(永岡書店)などがある。
事前の期待を上回る大満足の映画体験
――ラピュタっぽい。
『野生の島のロズ』の宣伝を見たとき、うっかりそう思った。というのも、本作の主人公であるロボットが、スタジオジブリの『天空の城ラピュタ』に登場するロボット兵に似ていたためだ。調べてみると、『ロズ』の監督はたしかに『ラピュタ』をキャラクターデザインの参考にしたそうだ。だが、実際に鑑賞したら全く異なるストーリーで、大満足の映画体験であった。
本作を手がけたのは、『シュレック』『ボス・ベイビー』などで知られるドリームワークス。監督・脚本のクリス・サンダースは『美女と野獣』『アラジン』などのディズニー映画の原案を務めた人物だ。
『野生の島のロズ』は、2024年に海外で公開されて以降、世界43か国で初登場1位を記録してきた。日本での公開は、2025年2月7日から。“アニメーション界のアカデミー賞”とも称されるアニー賞で9部門を受賞し、本家アカデミー賞にも3部門でノミネート中(2025年2月時点)。早くも続編の制作が決定した話題作だ。