もっとも面白い宮藤官九郎脚本のドラマは?(1)薬物やマルチ商法にも切り込む…伝説の幕開けを告げる傑作
2024年放送のドラマ『不適切にもほどがある!』『新宿野戦病院』で第33回橋田賞を受賞したことで話題の宮藤官九郎。これまでも数々のヒット作を手がけてきた。いつ見ても笑えて泣ける、そしていつまでも色褪せない作品を生み出している。今回は、宮藤官九郎が脚本を務めたドラマを5本セレクトしてご紹介する。第1回。(文・苫とり子)
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“クドカン”の名を轟かせた出世作
『池袋ウエストゲートパーク』(2000)
脚本:宮藤官九郎
監督:堤幸彦、伊佐野英樹、金子文紀、金子文紀
原作:石田衣良
出演:長瀬智也、加藤あい、窪塚洋介、山下智久、佐藤隆太、酒井若菜、阿部サダヲ、坂口憲二、妻夫木聡、西島千博、高橋一生、須藤公一、矢沢心、小雪、きたろう、森下愛子、渡辺謙、安藤裕子
【注目ポイント】
2004年10月期にTBS系列で放送され、若者から絶大な支持を受けた伝説のドラマ。2023年にNetflixで配信が開始されるや否や、人気ランキングの日本トップ10(テレビ部門)に連日ランクインしたことでも話題になった。
舞台となっているのは池袋西口公園。当時、行き場のない若者がたむろしており、今でいうトー横のような場所だ。そんな池袋西口公園で仲間たちと頻繁に集まっていた青果店の息子・マコト(長瀬智也)。ある日、仲間の1人であるリカ(酒井若菜)が惨殺され、カラーギャングを率いるタカシ(窪塚洋介)の協力を得て犯人を探し始める…というのが主なあらすじだ。
薬物、暴力、窃盗、抗争、マルチ商法など、90年代後期から00年代の負の面も包み隠さず、当時の若者の姿をワイルドに描きながら事件の真相を追う青春サスペンスである。
何よりも際立っているのがキャラクターの魅力。正義感が強く男女問わず多くの仲間たちから慕われるマコトは文句なしにかっこいいが、「悪いことすんなって言ってんじゃないの。ダサいことすんなって言ってんの」というセリフで知られる“キング”ことタカシも圧倒的なカリスマ性があり、惹かれざるを得ない。
ほかにも、弟分のシュンを演じた山下智久、ヒロインである女子高生のヒカルを演じた加藤あい、マコトの親友・マサを演じた佐藤隆太など、豪華キャストが出演している。
なお、脚本を手がけたクドカンは当時29歳。すでにクドカンらしさが随所に現れており、まごうことなく本作が彼の出世作となった。
(文・苫とり子)
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【了】