『人事の人見』第9話考察&感想レビュー。魅力炸裂！松田元太“沼”にハマる…桜井日奈子“森谷”に共感したワケ【ネタバレ】

2025/06/07

text by ふくだりょうこ

松田元太（Travis Japan）が単独初主演を務める火9ドラマ『人事の人見』（フジテレビ系）が、現在放送中。本作は“人事部”に焦点を当てた、痛快オフィスエンターテイメント。さっそく、第9話のレビューをお届けする。（文・ふくだりょうこ）【あらすじキャスト解説考察評価レビュー】

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人事部のミッションは「早期退職」

　今回、取り上げられたテーマは「早期退職」。早期退職をするなら、退職金を上乗せするよ、というものだ。あくまで退職するかどうかは本人の意志次第。だが、会社としてはできれば辞めてもらいたい社員もいる。世知辛い。人事部は対象社員全員と面談を行うことになる。

　人見（松田元太）が面談を担当するのは、EC事業課に所属する50代後半の男性社員・持田（阿南健治）。「会社が退職させたいと感じている社員」のひとりなのだが、持田は「やめるわけにはいかない」と頑なだ。双子の娘の大学進学を控えていることもあり、今の仕事を手放すわけには絶対にいかない。

　転職するという手もあるのだが、持田は仕事ができない。どの部署でも若干、いやかなり足を引っ張っているような状況。なのにどうして「日の出鉛筆」に就職できたかというと、鉛筆の削るのがうまいから。それで社長の小笠原（小野武彦）に気に入れられていたのだ。芸は身を助けるというやつか……。一方、真野（前田敦子）は学生時代の元カレ・進藤（黒羽麻璃央）から、自分の会社に来ないかと誘われ……。

　持田に「会社を辞める」と言わせることが今回の人見のミッション。ここまで、優しさと、人への寄り添い力が際立っていた人見。そんな人見が、嫌がっている人に「会社を辞める」なんて言わせられるはずがないのだ。持田から双子の娘の成長をまとめたスライドショーなんて見せられた日には……。案の定、人見は辞めさせるどころか、辞めなくていい方法を模索し始めてしまう。

意外な一面！？人見（松田元太）の挫折

　今回、ひとつ印象的だったのが人見の挫折が描かれていたこと。持田がいかに会社に必要かということを証明するために、「鉛筆を削るだけの動画」の配信することを思いついた人見。最初は順調に進んでいたが、調子に乗った持田は配信中にケガをして流血騒ぎをおこしてしまう。これがきっかけで会社の動画アカウントは使えなくなるし、配信を観ていた社長は大激怒。「クビだ、クビ！」とわめく。

　悪い案ではなかったけれど、いろいろとかみ合わなかったパターンだろう。責任を感じた持田は自ら会社を辞めることを決意。止められなかった人見は激しく落ちこむ。振り返ってみると、失敗はしていたけれど、決定的に結果が悪くなることはなかった。

　そんなときに手を差し伸べたのが人事部の面々。持田の再就職先の候補を探したり、長所をアピールするための資料を作ったり、自分の人脈を活用してあげようとしたり……。自分の担当の仕事ではない。でも、それぞれが人見を助けてあげたいと思ったから行動を起こした。

　里井（小日向文世）の狙いはまさにここだった。人見は突飛な案で解決しようとするところが目立ちがちだが、それに伴って発生する、人を巻き込む力を見込んでいたのだ。実際に、人事部は変わりつつある。

　そして、事の顛末を聞いた真野は進藤からの誘いを断り、日の出鉛筆で働き続けることを決める。もう少し人見と一緒に働きたいと思ったのが決め手だった。