大傑作! 日本最高のボクシング映画は? 心揺さぶる日本映画(2)映画賞総ナメ! 邦画屈指の素晴らしい一作
血や汗や情熱やロマンが入り混じる、泥臭くも美しいスポーツ、ボクシング。そんなボクシングを題材にした映画は、日本国内で今も昔も製作され続けており、有名監督や人気俳優、実力派女優らも多く関わっている。故障や病、障害、栄光と挫折などを描き、観る者の心を揺さぶる史上最高のボクシング映画を、今回は邦画に絞って5本セレクトした。
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安藤サクラの日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞作
『百円の恋』(2014)
上映時間:113分
監督:武正晴
脚本:足立紳
キャスト:安藤サクラ、新井浩文、稲川実代子、宇野祥平、坂田聡、沖田裕樹、吉村界人、松浦慎一郎、伊藤洋三郎、重松収、根岸季衣
【作品内容】
32歳の斎藤一子(安藤サクラ)は実家に引きこもり自堕落な生活を送っていた。ある日離婚し子供を連れた妹の二三子(早織)が実家に戻ってくる。
妹とうまくいかず、一人暮らしを始めた一子は深夜の100円ショップで働く。だがそこの店員は問題を抱えた人間ばかり。うつ病の店長、ギャンブル好きのバツイチ店員や口うるさい店員、廃棄を盗みに来る元店員。クセが強い人物の巣窟だった。
帰り道にあるボクシングジムで練習する狩野祐二(新井浩文)を眺めるのが日々の楽しみだった一子。ある日、狩野が客としてやってくる。狩野からデートに誘われた一子だったが…。
【注目ポイント】
本作は2012年の周南「絆」映画祭で第1回松田優作賞に選ばれた足立紳の脚本を映画化した作品で、ロケ地も松田優作の出身地である山口県を中心に撮影されている。
ドタバタのコメディー劇からシリアスな刑事もの、はたまたNHK朝ドラ『ブギウギ』まで担当するなど、幅広い作風のシナリオを紡いできた足立が、念入りな取材と豊かな想像力で力強い物語を練り上げた。
アカデミー外国語映画賞の日本代表にも選出され、主演の安藤サクラは、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得。さらに足立紳が最優秀脚本賞を受賞した。本作の監督は、工藤栄一、崔洋一、井筒和幸らの映画で助監督を経験した武正晴が務めている。
血まみれになりながら立ち上がろうとする一子の姿が感動を誘う。本作はボクシングをきっかけに、自分と向き合えるものに出合うことができた一人の女性の恋の物語である。
主人公は試合には敗れるが、自分自身には勝つ。ボクシングという競技が苦手な人にも刺さること請け合いの一作だ。
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