季節の変わり目となり2024年1月期のドラマが続々と終焉を迎えている。配信で様々な作品が気軽に観られる時代の中、テレビも負けじと良作を生み出している。 今回は、1月から3月にかけて放送された冬ドラマ作品の中でも最も好評だった作品を5本セレクト。作品の内容を振り返りながら、高評価に繋がった要因を解説する。（文・寺島武志）

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韓国俳優チェ・ジョンヒョプが女性の心を鷲掴み

『Eye Love You』

放送期間：2024年1月23日～3月26日
放送時間：火曜22:00～22:57
放送局：TBS系
脚本：三浦希紗、山下すばる
キャスト：二階堂ふみ、チェ・ジョンヒョプ、中川大志、山下美月、清水尋也、立川志らく、ゴリけん、鳴海唯、絃瀬聡一、杉本哲太

【作品内容】

チョコレートショップ「Dolce &a Chocolat.」の社長の本宮侑里（二階堂ふみ）は、目が合うと相手の心の声が聞こえてしまう“テレパス”の能力の持ち主。

その特殊能力によって、恋愛には二の足を踏んでしまう女性だったが、その能力が通用しない（韓国語であるため、理解できない）上に、明るい性格の年下の韓国人留学生、ユン・テオ（チェ・ジョンヒョプ）と出会い、恋に踏み出していくファンタジックラブストーリー。

【注目ポイント】

三浦希紗と山下すばるによる愛情とユーモアたっぷりのオリジナル脚本で描く本作。

二階堂といえば、前年、社会現象にまでなったドラマ『VIVANT』(2023，TBS系)での柚木薫役、さらに、『翔んで埼玉～琵琶湖より愛をこめて～』（2023）で、GACKTとダブル主演を務めた壇ノ浦百美役が記憶に新しいところ。

その愛らしいルックスと卓越した演技力、時代劇やバラエティー番組もこなす器用さを持ち合わせている二階堂だが、恋愛ドラマの主役を務めるのは、意外にも少ない。

その相手役に選ばれたのは、韓国人俳優のチェ・ジョンヒョプ。日本では全くといっていいほど無名の存在とあって、放送開始前は期待よりも、二階堂の恋人役に韓国人を起用することへの反感の声の方が大きかった本作。しかし、韓国国内では2022年、KBS演技大賞「新人演技賞」を受賞するなど、その演技力は確かなもので、たちまち女性ファンを獲得することになる。

海外留学中の高校時代、てんかんを発症し、以来、その症状に苦しめられ、それが原因で、兵役も免除されているほど。現在も投薬治療をしながら、芸能活動をこなしている苦労人だ。

ドラマのブームは対馬海峡を超え、ジョンヒョプの母国・韓国にも飛び火する。韓国ではNetflixで配信されている本作だが、「週間トップ10」入り（4位）し、これはTBSのテレビ局製作のドラマでは史上初の快挙だという。

侑里とテオの物語にフォーカスしたシナリオのため、登場人物はそう多くないが、それが功を奏し、取っ散らかった展開が目につく近年のドラマの傾向とは違い、主人公2人の関係を丹念に追ったことで、特に女性視聴者の心に刺さる作品に仕上がったのが勝因といえる。

このドラマ枠は『私の家政夫ナギサさん』（2020）、『逃げるは恥だが役に立つ』（2016）などの大ヒット作を生み出した、TBSにとっては看板枠だが、本作はそのラインナップに刻み込まれたといっていいだろう。

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