娼婦リンの謎めいた存在が導く予想外の結末
『L.Aコンフィデンシャル』(1998)
監督:カーティス・ハンソン
脚本:カーティス・ハンソン、ブライアン・ヘルゲランド
出演者:ケヴィン・スペイシー、ラッセル・クロウ、ガイ・ピアース、ジェームズ・クロムウェル、キム・ベイシンガー、デヴィッド・ストラザーン
【作品内容】
1950年のロサンゼルス。マフィアの幹部の逮捕をきっかけに抗争が繰り広げられていた。ある日、カフェで惨殺事件が起こり、刑事の1人が被害に遭う。その刑事の相棒だったバド(ラッセル・クロウ)が仲間らと捜査に当たり、遂に犯人を射殺するも…。
【注目ポイント】
本作は、ジェイムズ・エルロイの小説『L.A.四部作』第3部(第1部「ブラック・ダリア」、第2部「ビッグ・ノーウェア」、第3部「L.A.コンフィデンシャル」、第4部「ホワイト・ジャズ」で構成される)の第3部を、カーティス・ハンソン監督が映像化した作品だ。
物語は、性格も価値観も異なる3人の警官、バド・ホワイト巡査、ジャック・ビンセンズ巡査部長(ケヴィン・スペイシー)、エド・エクスリー巡査部長(ガイ・ピアース)の視点から描かれる。冒頭の30分間は比較的静かに進むものの、カフェで起きた惨殺事件をきっかけに、物語は怒涛の展開を見せ始める。
マフィアの抗争が絡んだ複雑な事件の謎。惨殺事件の被害者の中にバドの元同僚が含まれていた理由とは何なのか? また、娼婦リン(キム・ベイシンガー)の謎めいた存在が事件にどう関わるのか? 複数の伏線を張り巡らせながら、予想外の結末で観る者を驚かせる構成の妙が際立つ。
野心家のエド、記者に情報を売る悪徳刑事ジャック、そして正義感の塊のようなバド。タイプの異なる3人が、それぞれの方法で「正義」を追求し、最終的には1つの真実で結びついていく様が面白い。
138分という上映時間の中に、巧妙に張り巡らされた伏線や緊張感あふれる展開、そして巧みなキャラクター描写が、これでもかと詰まった本作は、最後まで飽きさせることなく我々を物語の中に引き込んでくれる。