大河ドラマ『光る君へ』で最も演技が良かった俳優は? ベストアクター5選。視聴者を虜にした男たちをセレクト
text by 西田梨紗
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)がいよいよ最終回を迎える。平安時代の身分を超えた恋愛を描き、これまでの大河ドラマとは一線を画した内容で支持を集めた。中でも、男性陣は魅力的なキャラクターが揃い、視聴者を虜にした。そこで今回は、最も芝居が良かった俳優を5人セレクトしてご紹介する。(文・西田梨紗)
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【著者プロフィール:西田梨紗】
アメリカ文学を研究。文学研究をきっかけに、連ドラや大河ドラマの考察記事を執筆している。社会派ドラマの考察が得意。物心ついた頃から天海祐希さんと黒木瞳さんのファン。
“恋のキューピット”に徹し本格ブレイク
毎熊克哉(直秀)
毎熊克哉が演じた直秀は“恋のキューピット”という別称で親しまれ、女性を中心に多くのファンを生んだ。直秀はどこか荒っぽく、ポーカーフェイスであるが、あたたかい心の持ち主で、仲間を思いやる気持ちは誰にも劣らず、人を見る目にも長けている。毎熊は直秀の外見と内面のギャップを器用に表現していた。
直秀といえば、屋根の上からまひろと道長をあたたかく見守る姿を思い浮かべる視聴者が多いはずだ。まひろにあわい恋心をいだき、道長を友とする彼は、ふたりを一歩離れた距離から見守り、ピンチのときは自身の危険を顧みず助けに向かう。ふたりの恋仲を保つために奔走するサマは何とも愛おしかった。
また、毎熊=直秀が第7回「おかしきことこそ」で見せたキツネ役は見事であった。茶目っ気たっぷりな表情はどこか新鮮で、民たちを笑わせ、お茶の間をホッコリさせた。
直秀が道長に並ぶほどの人気キャラクターになったのは、毎熊の演技が、彼本来の誠実さや、人間としての深みに裏打ちされているからだろう。
彼の退場を惜しんだ視聴者は数知れず。退場後もなお話題に上がる機会も少なくない。押しも押されぬ人気キャラクターの1人だと言えるだろう。