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幸せな夫婦の破綻が生む衝撃のミステリー

『ゴーン・ガール』(2014)

ベン・アフレック【Getty Images】
ベン・アフレック【Getty Images】

監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:ギリアン・フリン
出演者:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キャリー・クーン、キム・ディケンズ、パトリック・フュジット

【作品内容】

 誰もがうらやむような幸せな結婚生活を送る夫ニック・ダン(ベン・アフレック)とエイミー・ダン(ロザムンド・パイク)。彼らの結婚5周年の記念日にエイミーが突然姿を消したことにより、幸せな日常が破綻することになって…。

【注目ポイント】

 本作は、ギリアン・フリンの全米ベストセラー小説を原作に、映画『セブン』(1995年)、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008年)を手掛けるデビッド・フィンチャー監督が映画化した作品だ。

 結婚5年目を迎え、表向きは満たされた生活を送っていた夫婦に訪れる突然の危機。妻エイミーが、ガラスの散乱跡を残して自宅から忽然と姿を消す。彼女は誰かに殺されてしまったのか、それとも自発的に失踪したのか? 謎を追う中で次第に予想だにしなかった事実が次々と明らかになっていく。

 見どころの多い本作だが、とりわけ目を惹くシーンの1つが、男性にとって都合のいい女について、エイミーが語る場面だ。

「ニックが愛したのは、私が演じた“いい女”」「いい女は何でもしてくれて、いつも機嫌よく、絶対に男に怒らない」

 このセリフは、我々が無意識に抱いているジェンダーバイアスを浮き彫りにする。観ていて身につまされる気持ちになるのだ。

 また、夫婦ともにライターを職業にしている、という設定も面白い。妻のエイミーがライターとしての文才を活かし、夫との蜜月の日々や裏切り、そして夫の抑圧と恐怖を綴った300日にもわたる結婚日記を書き残す…といったアイデアにも脱帽する。

 本作は、極上のミステリーであると同時に、切れ者の妻がだらしない夫を自身の理想像に近づけようと過激な行動に出るブラックコメディとしての側面も持っている。また、一風変わったカップル映画であり、夫婦関係について深く考えさせられるところがある。様々な解釈に開かれた秀逸な作品だ。

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