最もホストの役が上手かった俳優は? 沼にハマらせた名演5選。色気がハンパない…夜の男を演じた役者をセレクト
text by shuya
夜の煌びやかな世界を生きるホストたち。一晩で数百万円のお金が動くこともザラ。そんな異世界を生きるホストという職業は、数多くの映像作品でモチーフになってきた。そこで今回は、映画やドラマでホストの役を演じ、観客を魅了した俳優を5人セレクト。演技の魅力を解説する。(文・shuya)
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【著者プロフィール:shuya】
多数のジャンルを執筆するフリーライター。自身の俳優としての活動を生かし、映画やドラマ、俳優の素晴らしさを言葉で表現する。「言葉というかけがえのない芸術で人々の人生を変える」をモットーに、生きる力をあなたに届ける。
寡黙なホスト役で光る確かな演技力
山下智久『TOKYO VICE』(WOWOW、2022)
アイドルの道を極めた後、役者として世界を股にかけて活躍している山下智久。英語を独学で勉強し、近年は海外の話題作で重要な役柄を演じる機会も多い。
本作は、『ヒート』(1995)や『コラテラル』(2004)の監督であり、男性を魅力的に撮ることにおいては当代で並ぶ者はいない、巨匠マイケル・マンが、全編日本ロケを敢行したドラマ作品。Max(旧HBO Max)が制作を手がけた本作で、山下は、カリスマホストを演じ、主演のアンセル・エルゴート(『ウエスト・サイド・ストーリー』など)と緊張感のある芝居の応酬を見せた。
ホストは一見すると派手で騒がしい印象を持たれやすい。しかし、本作で山下が演じたホストは寡黙で、言葉よりもふとした表情や身のこなしで人を惹きつける。無駄のない所作や視線の推移、低く落ち着いた声など微細な部分にまでこだわった役づくりがなされており、山下にしか出せない「寡黙な色気」に、終始ドキドキさせられる。
アイドル時代の山下もクールな印象が強く、本作で見せた演技は、従来のイメージの延長線上にあると言えるだろう。しかし、本作における佇まいには、ハリウッドスターに負けずとも劣らない自信がみなぎっており、No.1ホストという役柄に強い説得力をもたらしている。