香り立つ大人の魅力
松山ケンイチ(松風義輝)『クジャクのダンス、誰が見た?』
『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)で、弁護士の松風を演じる松山ケンイチもまたハマり役だ。
本作は、クリスマスイブの夜に元警察官の父親を殺された娘・心麦(広瀬すず)が、遺された手紙を手がかりに真相に迫るヒューマンクライムサスペンス。松風は心麦とバディを組み、共に事件の真相究明に奮闘する役柄である。
NHK連続テレビ小説『虎に翼』(2024)から続いて、法曹家を演じることになった松山。今回の役は、偏屈で、少しめんどくさくて、甘党という、虎つばで演じた裁判官の桂場と重なるところも多い。
しかし、さすがは実力派俳優。しっかり演じ分けされており、松風は桂場よりも軽やかで、もう少し親しみがある。「僕が君の目になる」とかっこつけた台詞を吐くが、心麦にはあまり刺さらず、居心地が悪そうにする姿が可愛らしかった。
でも、一番の魅力は大人としての責任感をしっかり持っているところ。心麦に厳しい言葉を投げかける時もあるが、それは覚悟を問うているだけであり、彼女を心配しているからこそなのだ。変に恋愛的な関係を匂わせず、松風が心麦の過保護な親みたいに見せているところもいい。
ちなみに真犯人の正体は出演者にも知らされていないようで、自身も積極的に考察に参加している松山のX(旧Twtter)での投稿も視聴者に大人気。彼の持つユーモアが役にも反映されていて、シリアスなシーンが多い中で松風の存在が一種の清涼剤となっている。どうか松風が真犯人…なんてことはありませんように!