完成を見ることのなかった“幻の映画”

『Golden(原題)』

女優のハリー・ベイリー
ハリー・ベイリー【Getty Images】

監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ハリー・ベイリー、ケルヴィン・ハリソン・Jr、ジャネール・モネイ、ミッシー・エリオット

【注目ポイント】

 2025年5月5日に公開を予定していた映画『Golden(原題)』は、世界的音楽アーティストのファレル・ウィリアムスと、映画『エターナル・サンシャイン』などで知られる奇才ミシェル・ゴンドリー監督のタッグによって企画されていたミュージカル映画。製作発表当初は「Atlantis」というタイトルで製作が進められており、高い注目を集めていた。

 ファレルといえば映画『怪盗グルーのミニオン危機一発』の主題歌「Happy」は世界的なヒットを記録した他、グラミー賞の常連でもある。様々なアーティストの楽曲プロデュースなど音楽業界において圧倒的な影響力を持っているだけではなく、ファッションブランドの立ち上げや社会貢献活動など音楽の枠を超えて創造性を発揮している人物だ。

 そんなファレルの幼少期を、バージニアビーチを舞台に描かれる予定だった。キャストにはハリー・ベイリー、ケルヴィン・ハリソン・Jr、ジャネール・モネイ、ミッシー・エリオットといった豪華な面々が集結し、音楽と映像が融合する鮮やかな世界観が期待されていた。

 しかし、監督のゴンドリーとプロデューサー陣との間に意見の相違が発生。当初のビジョンを実現することは困難と判断され製作は中止に。ファレルとゴンドリーは「当初思い描いていた物語の形でこの作品を完成させる道がないと判断した」との共同声明を発表したのだ。この段階でユニバーサルはすでに約2000万ドルを製作に費やしていたというが、クリエイターの意向を尊重する形となった。

 さらに、ユニバーサルは本作を他スタジオには売却しない方針を明らかにしており、完成を見ることのない“幻の映画”となった。

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