ロジャーの碑文、そして月へ──空島編は伏線の宝庫だった!

黄金郷シャンドラの在りか

 

ONE PIECE
ONE PIECE【Getty Images】

 2002年にはじまった空島編は、バトルと並行して古代遺跡の調査が描かれており、あちこちに『ONE PIECE』の世界の謎にかかわるような伏線が散りばめられている。

 まずは、空島編の前後で回収された伏線について紹介しよう。伏線の始まりは、ルフィたちが空島上陸直前に訪れた謎の島ジャヤだ。

 ルフィたちはこの島で、黄金郷を探し求める探検家モンブラン・クリケットに出会う。黄金郷シャンドラを目撃したと嘘をついて迫害を受けたモンブラン・ノーランドの子孫である彼は、海岸線にそって半分切り取られたような形の家に住んでいた。

 この不思議な家のカラクリは、ルフィたちが空島に行ってから明らかになる。というのも、家のもう半分を空島の聖地アッパーヤード(神の島)で発見したからだ。実は「アッパーヤード」やジャヤの一部で、400年前に発生した「突き上げる海流(ノックアップストリーム)」の影響で空へと飛ばされていたのだ。

 また、クリケットは、「髑髏の右目に黄金を見た」という言葉を引き合いに、黄金郷の存在を信じていたが、この言葉も嘘ではなかったことが明らかになる。なぜなら、地上のジャヤとアッパーヤードを合わせると、ちょうど髑髏の形になるからだ。

 なお、本編のラストでは、黄金郷を発見したルフィがシャンドラにある黄金の鐘を鳴らし、クリケットたちに空島の実在とノーランドの潔白を示す。読者にとっては数年越しの伏線回収だが、クリケットにとっては400年越しの伏線回収となったことを考えると、なんとも感慨深いものがある。

 また、最近回収されたものでは、アッパーヤードの「歴史の本文」に記された海賊王ゴール・D・ロジャーの碑文が挙げられるだろう。「我ここに至り この文を最果てへと導く」というこの碑文は、古代文字で記されていることもあり、長年多くの謎を呼んでいた。しかし、967話「ロジャーの冒険」で、古代文字の読み書きができる光月おでんがロジャー海賊団にいたことが判明。16年越しに謎が解明された。

 そして、もう1人忘れてはならないのが、ルフィが対峙した敵、エネルだ。雷に変化できるゴロゴロの実の能力者で、ルフィたちを苦しめたエネルだが、ルフィに敗北した後1人で月へと出発。そこで古代遺跡を発見し、地球外の文明や古代兵器の謎といった『ONE PIECE』最大の謎に触れている。

 作中最強格との呼び声も高いエネル。読者からは再登場を待ち望む声が多く挙がっている。

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