宇宙人!?冷蔵庫!?……突っ込みどころ満載の冒険譚

『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』(2008)

ハリソン・フォード
ハリソン・フォード【Getty Images】

監督:スティーブン・スピルバーグ
キャスト:ハリソン・フォード、ケイト・ブランシェット、カレン・アレン

【作品内容】

 1957年、冷戦下のアメリカ。KGBの女スパイ・スパルコに捕らえられたインディ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)は、神秘の「クリスタル・スカル」捜索を強要される。脱出後、青年マット(シャイア・ラブーフ)と出会い、旧友オクスリー教授の危機を知る。

【注目ポイント】

 多くの人々に愛されてきた『インディ・ジョーンズ』シリーズは、冒険と神秘が融合した名作として長年にわたり高い人気を誇っている。だが、2008年に公開された第4作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』だけは、シリーズの中でも異色の存在として、やや酷評を受ける結果となった。

 インディ・ジョーンズといえば、古代文明や宗教的遺物をめぐるスリリングな冒険が物語の核にある。その魅力が本作では大きく方向転換し、物語の核心に宇宙人というSF的存在が据えられた。突如として登場する異星人やUFOの存在は、まるでまったく別ジャンルの映画を見ているかのような違和感さえもあった。

 さらに物議を醸したシーンのひとつが、核爆発から冷蔵庫に入って生還するという場面である。かつてのシリーズが誇っていたスリルや知的な謎解きに代わり荒唐無稽さが際立ってしまったこの演出は、リアルな緊張感よりも先にツッコミどころが目立ってしまった。

 また、作品の評価をさらに左右したのが、数多くの間違いの存在である。ミステイクス・ドットコムが発表した「映画の間違いランキング」において、本作は2008年の映画の中で、ミスの多さという意外な点でトップに立ってしまったのだ。

 その数は実に64か所。たとえば、1957年という時代設定にもかかわらず、劇中の地図には1973年以降に使われる「ベリーズ」という国名が表記されていたり、インディが乗るハーレー・ダビッドソンが2000年代のモデルであるなど時代考証の甘さが浮き彫りになっている。

 とはいえ、約20年ぶりにスクリーンに戻ってきたインディ・ジョーンズの姿には、心を動かされた人も少なくない。年齢を重ねながらも帽子をかぶり、再び冒険に出るその姿には、ファンにとって特別な感慨がある。

 完璧ではなかったかもしれないが、『クリスタル・スカルの王国』もまた、インディ・ジョーンズという壮大な神話の一章であることに変わりはない。

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