圧倒的な才能が光る“憑依型”俳優

髙橋海人(King & Prince)

髙橋海人
髙橋海人【Getty images】

【注目ポイント】

「アイドルが天職」と公言してはばからない髙橋海人。彼のステージでのパフォーマンスはまさに水を得た魚のようだ。2022年より2人体制となったKing & Princeの活動は勢いを落とすどころか、次々にヒットを飛ばしている。歌やダンスはさらに磨きがかかっており、精鋭揃いの事務所でも頭ひとつ抜けている存在と言っていいだろう。

 しかし、彼の類まれなる才能はとどまるところを知らず、役者までこなしてしまうから恐ろしい。

 彼の代表作とも言えるドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系、2023)。本作は、オードリーの若林と、南海キャンディーズのエッセイをもとに構築された青春ドラマで、若林役を演じた髙橋は、若林を憑依させたような喋り口調、そして声、鬱屈した青春時代を過ごした若林の光のない目など、まさに生き写しのようであった。彼の演技スタイルはまさに“憑依型”と呼ぶにふさわしい。

 また、単独主演を務めたドラマ『95』(テレビ東京系、2024)で演じた、1995年の渋谷で生きる高校生・Q役も印象に残った。内気な青年が仲間とともに成長していく姿は、単なる青春ドラマではなく、その時代の空気をありありと感じさせ、なんともリアルだった。

 そして中村倫也とW主演を務めるドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系、2025)では、バディである中村倫也との見事な掛け合いで、お茶の間を絶賛魅了中である。

 ジャンルや役柄に関係なく、癖のあるキャラクターも自在に憑依させる髙橋海人。その演技はリアリティに満ち、感情の起伏や微細なニュアンスまでもが画面から伝わってくる。今や“アイドル”という肩書すら追いつかない、真の俳優としての階段を着実に駆け上がっている。

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