24年ぶりの放送に歓喜…しかし“感動”が削られていた
『ショーシャンクの空に』(1994)
監督:フランク・ダラボン
脚本:フランク・ダラボン
原作:スティーヴン・キング『刑務所のリタ・ヘイワース』
出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ボブ・ガントン、ウィリアム・サドラー、クランシー・ブラウン、ギル・ベローズ、ジェームズ・ホイットモア
【作品内容】
殺人罪でショーシャンク刑務所に入った元銀行副頭取アンディー(ティム・ロビンス)は、刑務所のしきたりに逆らい孤立していた。やがて、監視役の遺産相続問題を解決したことを機に、受刑者や看守たちから一目置かれる存在となっていく。
【注目ポイント】
「感動の名作」として知られる『ショーシャンクの空に』(1994)。冤罪で投獄された男・アンディと、彼の長きにわたる親友レッドとの絆を描いたこの物語は、公開から30年近く経った今でも「人生で一番好きな映画」に挙げる人が多い不朽の名作だ。
そんな名作が2022年、24年ぶりに日本テレビ系「金曜ロードショー」で放送された。ところが、視聴者の歓喜も束の間、放送直後には不満の声が相次ぐこととなった。その理由は、地上波特有の容赦ないカットにあった。
金ローで大幅に削られたのは、物語の核心に関わる重要なシーンばかり。冒頭の妻と愛人の情事回想、看守ハドリーによる暴行シーン、アンディが襲われる場面、さらに仮釈放審査でレッドが却下される場面までもがカットされていた。いずれも登場人物の背景や心情を理解するうえで欠かせない場面だった。
中でもファンの間で特に物議を醸したのが、アンディがレッドにハーモニカを贈る心温まる場面や、ノートン所長の自殺シーンのカットだ。これらがなければ、あの感動的なラストシーンの余韻も半減してしまうだろう。
放送直後のSNSでは「時間的に仕方ないんだろうけど…いいところがカットされてるよ」「20年振りに見てなんか釈然としない気持ちだったけど、あれカットされまくってたのね」といった不満が数多く寄せられた。
さらに、エンドロールが途中でぶった切られたことに対しては「スタッフ軽視だ」と批判の声も。
もちろん地上波放送には、放送枠やコンプライアンス上の制約があるのは理解できる。だが、名作の魅力を損なわないための配慮は必要だろう。特に『ショーシャンクの空に』のように、ディテールの積み重ねで感動が生まれる作品では、安易なカットが物語そのものを別物に変えてしまう危険すらある。
今回の放送をきっかけに改めて感じるのは、名作はやはりノーカットで観るべきだということ。もし金ロー版しか観たことがない人がいたなら、ぜひ一度、ノーカット版でこの映画の真価に触れてほしい。