毒舌コメディから社会派ドラマへ
『リーガル・ハイ』(フジテレビ、2012)
→韓国版『リーガル・ハイ』(2019)
監督:古沢良太
キャスト:堺雅人、新垣結衣、田口淳之介、生瀬勝久、小池栄子
【日本版の作品内容】
訴訟無敗の敏腕弁護士・古美門研介(堺雅人)と、正義感あふれる生真面目な新米弁護士・黛真知子(新垣結衣)が、軽妙なやり取りを交えながら法廷で活躍するコメディタッチのリーガルドラマ。
【注目ポイント】
2012年、堺雅人主演で放送された日本のドラマ『リーガル・ハイ』は、型破りな弁護士・古美門研介(堺雅人)と、新米弁護士・黛真知子(新垣結衣)の軽妙な掛け合いで人気を集めた。毒舌と超高速の弁論を武器に、どんな訴訟も勝ち抜く古美門。対する黛のまっすぐな正義感との対比がテンポ良くユーモラスに描かれ、社会現象を巻き起こした。
そして2019年、このドラマは韓国でリメイクされる。チン・グがテリム(日本版:古美門)役を演じ、韓国でもリメイクされた。韓国版は、日本版のコミカルなやり取りを基盤にしつつ、よりシリアスで社会派色が強調されているのが特徴だ。特に、韓国社会に根深い「財閥問題」が物語の大きな軸となり、巨大な権力とそれに抗う弁護士たちの対決が濃厚に描かれている。これにより、単なる法廷ドラマにとどまらず、韓国ドラマならではの骨太な社会派ストーリーへと昇華された。
また、韓国版では原作にない要素も追加されている。日本版の黛にあたる女性ソ・ジェイン(ソ・ウンス)は、理不尽な権力に立ち向かうだけでなく、自らを鍛えるためにボクシングに打ち込むという設定が加わった。公開ポスターでボクシンググローブをはめた姿が描かれたのもそのためで、彼女の成長物語がより主体的に描かれているといえるだろう。
さらに、ジェインと敵対するイケメン弁護士カン・ギソク(ユン・パク)との間には、韓国ドラマらしい淡いロマンスの要素も盛り込まれ、日韓版の雰囲気の違いを際立たせていた。
象徴的なオープニング演出も両国で異なる。日本版では東京スカイツリー、韓国版ではソウルタワーが登場し、それぞれの国の文化や風土を印象的に表現していた。