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アカデミー賞を獲得した珠玉の短編
娘を亡くした家族の愛の物語

『愛してるって言っておくね』(2020)

Netflix愛してるって言っておくね

上映時間:12分
監督:ウィル・マコーマック、マイケル・ゴヴィア
脚本:ウィル・マコーマック、マイケル・ゴヴィア

【作品内容】

校内銃乱射事件により娘を失った両親は、悲しみに打ちひしがれる日々を送っている。ある日ひょんなことがきっかけで、娘がいつも聞いていたKing Princessの「1950」がレコードプレイヤーから流れ出す。これをきっかけに2人は、娘が生きていた日々を振り返る。

2018年にアメリカのフロリダ州で実際におきた学校での銃乱射事件を元に、監督・脚本のウィル・マコーマックとマイケル・ゴヴィアが1年かけて作り上げ、第93回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞したNetflixオリジナルアニメーション。

【注目ポイント】

本作はセリフが全くなく、12分と短い尺で話が展開されている。その短い時間で両親が娘の死を受け入れるまでの心の機微が実に細やかに表現されている。

娘を失った両親は悲しみの日々を送っており、会話もなく、いつもうつむいている。そんな彼らの代わりにストーリーを進行させていくのが、本人たちの影。影同士が罵り合って気持ちを表現していたり、回想シーンではこれから事件が起こる学校へ向かおうとする娘を必死に止めようとする描写がある。

また、邦題にも賞賛の声が上がっている。原題は「If anything happens I love you」。直訳すると「何が起きたとしても愛してる」だが、「愛してるって言っておくね」と和訳したところが秀逸だ。

もちろん、原題も素晴らしい。直訳してもストーリーと矛盾しないが、上記の訳を採用したことで、亡くなった娘の気持ちが加味され、映画に深さと広がりを与えることに成功している。

ラストでは、音声のみで間接的に事件の様子が描写される。銃声と悲鳴が飛び交う中、娘がスマホで両親に「If anything happens I love you」とメッセージが送られ物語が終わる。

今作品は家族愛だけではなく、アメリカの銃社会の風刺も描かれており、泣けるのはもちろん、社会的な問題について深く考えさせられるという点でも素晴らしい作品だ。

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