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演じるのはラブドール職人
エロいのに泣けるラブシーンは必見

『ロマンスドール』(2020)

監督:タナダユキ
脚本:タナダユキ
原作:タナダユキ『ロマンスドール』
出演者:高橋一生、蒼井優、浜野謙太、三浦透子、大倉孝二、ピエール瀧、渡辺えり、きたろう

【作品内容】

美人で優しい園子(蒼井優)に一目ぼれして結婚した哲雄(高橋一生)は、ラブドール職人として働いていることを彼女に隠していた。哲雄は仕事にのめり込み、園子とはセックスレスになる。そんなある日、園子がこれまで明かすことのなかった秘密を哲雄に打ち明けるのだが…。

『ふがいない僕は空を見た』『お父さんと伊藤さん』などのタナダユキ監督が、自身の著書を映画化。きたろう、渡辺えりらベテラン勢が脇を固める。

【注目ポイント】

妻の園子役の蒼井優Getty Images

高橋一生演じる哲雄は、亡くなった園子にそっくりな全裸の人形を作ると、自身が社長を務める会社のスタッフに披露し、「本物みたい!!」と称賛される。園子は生前、哲雄のためを思って「私の人形を作って…」と言い伝えていたのだった。

しかし、哲雄は何を思ったか、自身のためだけに収まらず、園子そっくりなラブドールを100体作って売りはじめる。そして、儲けたお金は社員旅行に費やし、スタッフ労う。

あらすじだけ見ると、哲雄はただの変わり者にしか思えないだろう。しかし、映画全体には常に爽やかな空気が流れている。そのアンニュイさが本作の魅力だ。また、きたろうを始めとした脇を固める役者たちが、皆、気持ちの良い人間であるのも、複雑なテーマを持つ本作を爽やかにしている要因でもあるだろう。

前半はユーモアに溢れた楽しい展開であり、中盤からは徐々に切ないエピソードが盛り込まれていく。そして、後半は重いテーマとなってくるのだが、全てのシーンにおいて、高橋はバリエーションの異なる表情を見せ、カメレオン俳優ぶりを遺憾なく発揮している。

特筆すべきは、何と言っても、蒼井優との濃厚なラブシーンだろう。鑑賞していて気恥ずかしさを感じるほどエロティックに撮られているが、徐々に涙腺が潤んでくる。紛れもなくエロいのに泣ける。不思議な描写である。

ラブシーンで涙が止まらなくなる映画には滅多に出会えるものではない。ぜひ稀有な体験を味わってほしい。

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