王道の胸キュンストーリー
有名俳優が出演していないのが逆に良い
『ハニーレモンソーダ』(2021)
上映時間:111分
監督:神徳幸治
原作:村田真優
脚本:吉川菜美
キャスト:ラウール、吉川愛(吉田里琴)、堀田真由、濱田龍臣、坂東龍汰、岡本夏美
【作品内容】
中学時代にいじめられていた自分を変えるため、自由な高校に入学した石森羽花(吉川愛)が高校で出会ったのが、レモン色の髪をした人気者でありながらクールな三浦界(ラウール)だった。2人は徐々に惹かれ合っていくが、界には誰も知らないある秘密があり…。
村田真優の人気少女コミック「ハニーレモンソーダ」を、『ピーチガール』の神徳幸治がメガホンをとり、人気アイドルグループ「Snow Man」のラウール映画単独初主演作として実写映画化。ヒロインの羽花役を『十二人の死にたい子どもたち』の吉川愛が演じる。
【注目ポイント】
ストーリーはありきたりな内容だが、少女漫画っぽくて王道好きにはたまらない仕上がりになっている。
女の子の共感を呼ぶ要素がたくさん盛り込まれており、特にエンドロールでは「彼氏にしてもらったら嬉しいこと」を、ダイジェスト形式でどんどん出してくる。これを観た女性は、ヒロインの羽花に自分を重ねて胸をときめかせることだろう。
一方、本作が映画初主演となるラウールの演じた界は、原作のイメージと合っていないとの声も多く聞かれた。しかし、他のキャラクターを含め、知名度が高くこなれた俳優をあえてキャスティングしないでおくことで、リアルで初々しい高校生の日常を活き活きと表現することに成功している。
タイトル通り甘酸っぱい青春胸キュンストーリーで、時折出てくるキリンレモンのペットボトルがやたら目につく。
特に印象的なのは、界が他の生徒に因縁をつけられている時に、持っていたキリンレモンを振り、炭酸で攻撃するシーンはクスッと笑えると同時に、斬新なキリンレモンの宣伝だなと感心してしまう。ストーリーだけでなく、そんな小ネタにも注目してほしい作品だ。