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ラセターの熱い宮崎への愛

宮崎駿
宮崎駿Getty Images

ラセターがはじめて宮崎作品に触れたのは、初監督作品となる『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)。

1981年に東京ムービー新社の藤岡豊と出会い、フィルムをもらったというラセターは、特に冒頭のカーチェイスシーンに深い感銘を受け、「That’s Awesome!(本当に素晴らしい!)」と感嘆したという。

その後、1987年にCGのシンポジウムで来日したラセターは、実際にジブリのスタジオに赴き、宮崎と対面。当時『となりのトトロ』(1987年)を制作していた宮崎は、同作に登場するネコバスのスケッチを見せ、驚くラセターにイタズラっぽく笑いかけたとのこと。

ラセターによると、その時の宮崎の笑顔がネコバスそっくりだったとか(なお、トトロは2010年公開の『トイストーリー3』にカメオ出演している)。

その後も来日するたびに必ずスタジオジブリや三鷹の森ジブリ美術館を訪れ、宮崎との親交を深めたラセター。

宮崎駿作品を世界に広めたいという思いから、『千と千尋の神隠し』(2001年)では全米での配給に尽力し、第75回アカデミー賞の長編アニメ賞の受賞にも貢献。

他にも、ピクサーでの宮崎の講演や『もののけ姫』(1997年)の試写会も実施したという。

そんなラセターは、2014年に行われた第27回東京国際映画祭のスペシャルイベント「ジョン・ラセターが語るクール・ジャパン」で、宮崎について次のように語っている。

「宮崎さんは僕のキャリアだけでなく、人生にも大きな影響を与えている。実は妻のナンシーと結婚したのも『カリオストロの城』のおかげ。彼女にひと目ぼれした僕は、彼女に例のVHSを見せたんだ。幸い、彼女も『大好き』と言ってくれて、僕にふわさしい女性だと直感した。5人の息子も『ラピュタ』を見て育ったよ」

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