スティーヴン・スピルバーグ監督「史上最高の冒険映画のひとつ」宮崎駿の初期作『ルパン三世 カリオストロの城』海外でベタ褒め
text by 編集部
映画『ルパン三世 カリオストロの城』(1979)は、宮崎駿監督初期の作品であるにも関わらず、今尚、多くの作品や作家に影響を及ぼしている作品だ。巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督も「史上最高の冒険映画のひとつ」と本作を評している。今回は『カリオストロの城』が映画業界に与えた影響について米colliderの記事を参考に解説する。
『カリオストロの城』が影響を及ぼした数々の映像作品
映画『ルパン三世 カリオストロの城』は、ジョージ・ルーカス監督が製作した「インディ・ジョーンズ」シリーズ第1作目、映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)公開の丸2年前に登場した。
これは、アニメというメディアが映画業界の誰からも真剣に取り上げられるようになる、あるいは米国で一般的なメディアとなる数十年前のことである。
80年代初頭に様々なSF映画祭や、映画コンベンションで上映された『カリオストロの城』は、このようなイベントで上映される唯一のアニメ映画作品であった。
特段変わったアニメ作品ではないと判断され、当時は大きな評価を得られなかった。
本作は、宮崎駿監督初の長編映画作品であり、スタジオジブリが設立されるのは、この6年後のことである。そのため、まだ誰も宮崎駿の存在を特別視しておらず、作品への注目も集められなかったのだ。
今では、マーケティングを一切行わず、新作映画を公開しても、多くのファンが、劇場へ足を運ぶようになった宮崎駿の映画作品。
彼の初期作品である『カリオストロの城』は、露出が少なかったにも関わらず、その後、『E.T.』(1982)のスティーブン・スピルバーグ監督、『トイ・ストーリー』(1995~)シリーズのジョン・ラセター監督、そしてディズニーでアニメーションの仕事を行う多くの人々を筆頭に、全世代の映画製作者に影響を与える作品となる。
それは奇妙なことに思えるかもしれない。何故なら当時は、前述した通り、彼の作品には注目自体集まらなかったのである。