『ゴールデンカムイ』の元ネタになった映画は? オマージュが捧げられた不朽の名作5選。まさかの丸パクリ? 問題作をセレクト
アイヌの金塊をめぐり、様々なキャラクターがバトルや策略を繰り広げるサバイバル漫画『ゴールデンカムイ』。そんな大人気漫画の作者・野田サトルは、映画好きとしても有名であり、漫画の中に様々な映画作品からオマージュしたシーンを登場させている。今回は数ある作中から、本作にオマージュされた映画を5本紹介していく。(文・タナカシカ)
『ゴールデンカムイ』とは?
『ゴールデンカムイ』は野田サトルによる日本の漫画で、明治末期の北海道・樺太を舞台にした、金塊をめぐるサバイバルバトル漫画。
『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて、2014年38号から2022年22・23合併号まで連載された。2023年3月時点で、既刊のコミックス全31巻でシリーズ累計2,400万部突破している。
2018年4月からTOKYO MX他にてアニメ化され、2024年1月19日に実写映画化されることが発表された。
明治時代後期の北海道。日露戦争に従軍し「不死身の杉元」と謳われた兵士、杉元佐一が、戦友(寅次)であった妻(梅子)の目の病気を治すという意思を引き継ぐ。
治療費を稼ぐため北海道へ砂金を集めに行くが、そこで死刑囚が隠した、アイヌの莫大な埋葬金巡り、北海道で出会ったアイヌ民族の少女アシリパと協力し、手がかりを集めていく。
白石由竹が素っ裸で脱獄するシーンでオマージュ
ショーシャンクの空に(1994)
監督:フランク・ダラボン
脚本:フランク・ダラボン
出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ボブ・ガントン、ウィリアム・サドラー、クランシー・ブラウン、ギル・ベローズ、ジェームズ・ホイットモア
【作品内容】
“脱獄モノ”の系譜として挙げられる本作。
冤罪によって投獄された有能な銀行員が、腐敗した刑務所の中でも希望を捨てずに、自由を手に入れるヒューマンドラマ。
【注目ポイント】
入れ墨を持つ網走監獄の囚人の1人である白石由竹。
そんな彼が“脱獄王”と呼ばれるきっかけになった回想シーン(コミックス9巻85話「恋路いくとせ」)に、『ショーシャンクの空に』の主人公・アンディ(ティム・ロビンス)が脱獄した時のあのポーズが丸々オマージュされている。
同作のメインビジュアルにもなっているアンディが両手を広げ、雨に打たれて空を仰ぐ、あのシーンだ。
激しい雷雨と雷鳴が獄中にも轟く中、アンディはついに脱獄を成功させる。
そして、外の空気をたっぷり味わい、降り注ぐ雨粒をその身体に刻む。19年ぶりに感じる外の世界。天を仰ぐアンディをとらえたショットは、観る者の心を解放する力に満ちている。
白石由竹の場合は、お得意技である関節を外し、下水道を通り、真っ裸で外に出る。白石が脱獄する理由は割愛するが、とにかく劣悪きわまりないものであり、彼と比べること自体、アンディへの冒涜だろう。
とはいえ、アンディと白石の性格と目的は真逆だが、根気強く脱獄を成功させる、諦めない力においては共通したものを持っていると言えるだろう。野田先生はあえて、真逆の性格を持つ、アンディと白石をリンクさせたのかもしれない。
独特のアンバランスさが目を引く、ファン必見の愛すべきオマージュシーンである。