当時は大絶賛…今観ると問題だらけ! 今だったら炎上間違いなしの日本ドラマ5選。現代なら批判殺到必至の名作を厳選
時代を超え、人々の記憶に残る名作ドラマは数多くある。ところが、時の流れにつれ、テレビ放送における規定は変化し続けている。当時は名作と絶賛された作品も現在ではコンプライアンス的に再放送できないと判断されるものも増えてきている。今回は、現代では批判を喰らいそうな名作民放ドラマを5本厳選してご紹介する。(文・寺島武志)
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少女漫画原作の大人気ラブコメディ
『花より男子』(2005、2008)
放送期間:第1期2005年10月21日~12月16日、第2期(リターンズ)2007年1月5日~3月16日
放送時間:金曜22:00~22:54
放送局:TBS系
脚本:サタケミキオ、藤本有紀、高橋ナツコ
最高視聴率:22.4%
キャスト:井上真央、松本潤、小栗旬、松田翔太、阿部力、西原亜希、加藤貴子、石野真子、小林すすむ、デビット伊東、松嶋菜々子、加賀まりこ
【作品内容】
裕福な家庭の子息ばかりがいる英徳学園に、母の希望で玉の輿目当てで入学してしまった中流家庭育ちの主人公・牧野つくし(井上真央)が悪戦苦闘する物語。学園を牛耳る金持ちの男子グループ「F4(Flower 4=花の四人組)」を筆頭に、差別による集団いじめなどを、コメディーチックに描いている学園ラブストーリーだ。
「F4」のリーダー格である道明寺財閥の御曹司・司(松本潤)に目をつけられたことで、つくしの平穏な学園生活は終わりを迎える。ところが、司は、自分のやり方に反発するつくしに恋に落ちてしまう。2人はやがて思いが通じあっていき、2人の恋路を阻むものを乗り越えていく様が描かれている。
本作は、神尾葉子による少女漫画が原作の恋愛コメディードラマだ。原作は『マーガレット』(集英社)誌上で、1992年から2004年まで連載され、「花男(はなだん)」と略されるほどの大ヒットを記録し、単行本は全37巻が発売。累計発行部数は6100万部を突破。今年「最も多く発行された単一作者による少女コミックシリーズ」としてギネス世界記録に認定された名作だ。
実写となる本作での「F4」のメンバーは、道明寺司役の松本潤にとどまらず、花沢類役に小栗旬、西門総二郎役に松田翔太、美作あきら役に阿部力と豪華キャストが名を連ねており、人気が沸騰。その人気は女子のみならず、男子にも受け入れられ、その年代も幅広かった。
【注目ポイント】
続編『花より男子2 リターンズ』(2007)や劇場版『花より男子F』(2008)も製作され、中国、韓国などのアジア各国でも実写化された”超”人気作であるにも関わらず、これのどこがコンプライアンスに抵触するのか、再放送されないのか。
疑問に感じるところだが、つくしと司が恋に落ちる前段での、道明寺の仕打ち、「F4」の言いなりになるしかない学園の生徒全員による壮絶ないじめのシーンがあることが問題視されていると考えられる。
物語序盤、学内で赤札をつけられた生徒は、「F4」に目をつけられたとされ、学園生徒総出のいじめに遭う。つくしは、元来の正義感の強さからいじめに遭っている生徒をかばってしまい、それが原因で赤札をつけられ、いじめの標的となる。現在の日本を予見するような、圧倒的な格差社会が、その背景にある点も見逃せないポイントだ。
つくしは正義感が強く、負けん気も強いため、「調子こいてんじゃねーよ!」と怒りをストレートに司にぶつけることが出来る人間であること。また恋愛が主体のドラマである以上、劇中のいじめパート自体はそれほど長くないとはいえ、学園中の生徒が寄ってたかってへらへらと笑いながらいじめる様は、中々に胸糞の悪いシーンである。司も後に反省し謝罪するとはいえ、自分にこんな仕打ちをした相手と恋愛関係になるつくしの度胸と器の大きさには感服するばかりだ。
地上波での再放送のみならず、昨年末まで動画配信サービスでも見られなかった本作だが、井上真央主演の2023年1月、TBS系の金曜ドラマ『100万回言えばよかった』の放送を記念して、期間限定ながら配信されたことが話題になった。