2023年、最も期待はずれだった日本映画は…? 邦画ワースト5選。ツッコミどころ満載の迷作をセレクト
『怪物』や『ゴジラ−1.0』、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』など、話題作が目白押しだった2023年の日本映画界。しかし、そんなヒット作の裏側には、鳴り物入りにも関わらず儚く散っていった作品も数多く存在する。今回は、そんな作品の中から5本を厳選してご紹介しよう(文・編集部)
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アクションがヌルすぎる!
リアリティ皆無のアクションが物議を醸す
『リボルバー・リリー』
上映時間:139分
監督:行定勲
脚本:小林達夫、行定勲
出演者:綾瀬はるか、長谷川博己、羽村仁成(Go!Go!kids / ジャニーズJr.)、シシド・カフカ、古川琴音、清水尋也、ジェシー(SixTONES)、佐藤二朗、吹越満、板尾創路、橋爪功、石橋蓮司、阿部サダヲ、野村萬斎、豊川悦司
【作品内容】
時代は大正末期。関東大震災を受け、復興した日本。モダンな建物が立ち並び、人々は活気にあふれていた。小曽根百合は16歳からスパイとして活躍し、東アジアを中心に3年間で57人を殺した経歴を持つ、凄腕の元諜報員。
そんな小曽根は、諜報員を引退してから、東京の歓楽街・玉の井にある、カフェ・ランブルのオーナーをしている。ある日、古い友人の國松が犯したとされる殺人事件が気になり、現場の秩父に赴く…。
【注目ポイント】
本作は、長浦京の同名漫画が原作のアクションムービー。監督は『世界の中心で、愛を叫ぶ』(2004)『北の零年』(2005)の行定勲監督が務め、主人公小曾根百合を綾瀬はるかが演じる。
往年の『緋牡丹博徒』シリーズ(1968~1972)をはじめとする東映ダークヒロインの復権を旗印に制作された本作だが、監督がヒューマンドラマを得意とする行定が担当したこともあり、全体的にヌルいアクション映画となってしまった。
予告編を観てもらうと一目瞭然だが、百合の銃撃シーンでは、銃弾を撃った時の反動がなく、描写のリアリティにかけている。また、タイトルに「リボルバー」を冠する割には、リボルバーに対する愛着が感じられないのも気になる。
極め付けは、クライマックスの日比谷公園のシーンだろう。拳銃1本で陸軍の精鋭部隊を突破する百合の姿には、思わず「そんなバカな…」という言葉が漏れてしまう。
本作、当初別の人物が監督を務めるはずだったが、さまざまな理由から行定に話が回ってきたのだという。もし本作を三池崇史や阪本順治といったアクション演出を得意とする監督が撮っていたら…そう考えると残念でならない。