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実は続編のほうが面白い日本映画は…? 邦画シリーズ最高傑作5選。1作目よりもさらにパワーアップした傑作をセレクト

text by 編集部

どんなに1作目が面白くても、シリーズ化されると全く魅力のない映画になってしまう作品が多く存在する。しかし、そんな中でも前作を超える映画も存在することは確かだ。今回は、シリーズ化された映画の中でも、最高傑作となった日本映画を5本セレクト。作品の魅力も徹底解説する。

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テロ事件を予見…。社会問題への鋭い眼差しと美しいCGが魅力

『機動警察パトレイバー2 the Movie』(1993)

押井守監督
押井守監督Getty Images

上映時間:113分
監督:押井守
原作:ヘッドギア
脚本:伊藤和典
キャスト(声優):冨永みーな、古川登志夫、大林隆之介、榊原良子、竹中直人、根津甚八、日村勇紀

【作品内容】

近未来の東京、多足歩行作業機「レイバー」による犯罪のために設立された警視庁特車二課、その第2小隊のメンバーは、今は散り散りの人生を送っていた。

柘植行人は東南アジアの某国で、他の自衛隊員と共にゲリラの襲撃を受ける。柘植は本部に発砲許可を求めるが却下され、回避しろと指示される。その間に柘植を除く仲間の自衛隊員は殺されてしまう。

日本に戻った柘植は行方を眩まし、軍用機で横浜ベイブリッジを空爆するテロ事件を起こす。その事件は、東京を戦場に変える陰謀の始まりでもあった。

【注目ポイント】

原作は押井守を筆頭とする原作者集団「ヘッドギア」による人気メディアミックス作品『機動警察パトレイバー』の劇場版第2弾だ。ミリタリーサスペンス的要素が高く、「自衛隊員によるテロ」というショッキングな展開が鑑賞者を惹きつけただけではなく、庵野秀明や宮﨑駿といった超大物の先人たちからも、高く評価された。

本作の2年後、日本中を震撼させた「地下鉄サリン事件」が起き、その先見性にも注目されたが、当の本人は「アレには本当に参った。こんなことが起きるとは全く想定していなかった。ああいうことは妄想で終わることに価値がある。実際のテロは妄想よりもはるかに人間臭くて、惨めったらしくて、卑俗なものですよ」と困惑したといわれる。

「日本国内でのテロ」というタブーに触れたつもりが、本当にテロ事件が起きてしまったのだから、原作者の立場とすれば、「虚構と現実」の境目を見失うのも当然だろう。しかしながら、現在も続く日本の安全保障体制に対し、敢然と問題提起する硬派なストーリーに加え、美しいCG映像を多用し、エンタメに昇華させた名作として語り継がれている。

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