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巨匠絶賛…和製SFの名作は? 世界で高評価なSF日本映画5選。娯楽性と社会性を兼ねそなえた作品を厳選

text by ニャンコ

日本では、潤沢ではない製作費により、SF映画がチープなものになってしまう。それと同時に、海外でも上映される作品や賞を取っているものなど、角度のついた設定のSF映画も数多くある。今回は、クエンティン・タランティーノやスティーブン・スピルバーグなど、名だたる巨匠が絶賛している、日本のSF映画を5本紹介する。(文・ニャンコ)

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日本が誇るカルトの傑作。斬新な設定と前衛的な映像に圧倒される

『鉄男 TETSUO』(1989)

塚本晋也
塚本晋也Getty Images

上映時間:67分
監督:塚本晋也
脚本:塚本晋也
出演者:塚本晋也、田口トモロヲ、藤原京、六平直政、石橋蓮司、叶岡伸

【作品内容】

ある日突然、自分の体が金属に変わり始めるサラリーマン(田口トモロヲ)、そしてサラリーマンに対し肉体改造を施した異形の男(塚本晋也)が自らの復讐を果たすために動き出す。

塚本晋也が監督・脚本・出演を務めた1989年の日本映画で、異形のサイバーパンク世界を描いた映画。
その独特のビジュアルスタイルと斬新なストーリーテリングで、国内外から高い評価を受け、第9回ローマ国際ファンタスティック映画祭でグランプリを受賞した。

出演は田口トモロヲ、塚本晋也、藤原京が担当。前衛的な映像技術と独自の世界観でカルト的な人気を誇り、後の映画製作にも大きな影響を与えている。
注目のポイントは、革新的な特殊効果と圧倒的な映像美である。

【注目ポイント】

『鉄男 TETSUO』は、その革新的な特殊効果と、映像と音響が織り成す圧倒的な世界観で、国内外から高い評価を受けている。
特に、人間の身体が金属へと変貌するという斬新なアイデア、それを通じて探求される人間性のテーマは、観る者に深い印象を残している。

本作の人気は日本国内のみならず、世界にも広がっている。著名な映画評論家や監督たちは、「映画界における真の異端児」である塚本監督を賞賛。

例えば、映画『タクシードライバー』(1976)や『キラー・オブ・ザ・フラワームーン』(2023)など数々の傑作で知られる、巨匠マーティン・スコセッシは、『鉄男 TETSUO』の独創性と挑戦的なスタイルを高く評価。他にも、クエンティン・タランティーノ、ダーレン・アロフノスキーといった錚々たる映画作家が本作のファンであることを公言している。

ちなみにスコセッシは、日本の小説を映画化した『沈黙』(2016)で重要な役に塚本をコンバートしている。

ローマ国際ファンタスティック映画祭でのグランプリ受賞は、この映画が持つ国際的な魅力と影響力を象徴している。日本のSF映画として異例の国際的成功を収め、後世の映画製作にも大きな影響を与え続けている「異端の傑作」と呼ぶにふさわしい作品だ。

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