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現実と夢の間で交錯するカオス
ビートたけしとの豪華共演にも注目

『女が眠る時』(2016)

監督:ウェイン・ワン
脚本:マイケル・K・レイ、シンホ・リー、砂田麻美
出演:ビートたけし、西島秀俊、忽那汐里、小山田サユリ

【作品内容】

処女作がヒットして以降、スランプに陥っている作家の清水健二(西島秀俊)は、無気力なまま、妻(小山田サユリ)とリゾートホテルで休暇を過ごしていた。しかしそこで初老の男性、佐原(ビートたけし)と不釣り合いな若い女性、美樹(忽那汐里)の存在に気づく。その後も同じホテルで見かけるたびに好奇心を抑えきれず、2人の後をつけてしまうが、だんだんと行動がエスカレートし、ついに佐原の部屋をのぞいてしまう…。

【注目ポイント】

少し前、「THIS MAN」という男が話題になった。きっかけは、夢に見知らぬ男が繰り返し現れるという精神病患者。医師が男のモンタージュを作成し、仲間の医師とシェアすると、男を夢で見たと証言する患者が続々と名乗りを上げてきたー。

本作は、さしずめこの「THIS MAN」を巡る物語だといえるかもしれない。監督は、1995年に『スモーク』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したウェイン・ワン。原作は、ハビエル・マリエスの同名小説。

滞在中のホテルで佐原(ビートたけし)と美樹(忽那汐里)のカップルを目撃した主人公・健二(西島秀俊)は、「THIS MAN」である佐原と関わる中で、夢と現実、小説の世界と映画の世界が交錯するカオスへ足を踏み入れていく。

印象的なのは、健二が壁の影からじっと覗く姿。まるで往年の市原悦子のようだが、光を失ったその目は、無意識の深淵を覗いているようだ。目線の先にあるのは、ベッドで眠る美樹の姿。生(性)と死がオーバーラップする。
さて、「THIS MAN」は、その後作り話であることが明かされた。しかし、未だに彼がいない証明はなされていない。今夜、無意識の深淵をのぞくのは、あなたかもしれないー。

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