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“エヴァ”へのオマージュも…なぜ“異色のジブリ映画”と呼ばれるのか? 『猫の恩返し』を100倍楽しめる豆知識を解説&考察

スタジオジブリが制作した映画『猫の恩返し』。その本編が、2024年5月3日に金曜ロードショー(日本テレビ系列)でノーカット放送される。今回はそのおさらいということで、あらためて今作を楽しめるような豆知識や本編についてのレビューを紹介する。(文・ジュウ・ショ)

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【著者プロフィール:ジュウ・ショ】

フリーランスとしてサブカル系、アート系Webメディアなどの立ち上げ・運営を経験。コンセプトは「カルチャーを知ると、昨日より作品がおもしろくなる」。美術・文学・アニメ・マンガ・音楽など、堅苦しく書かれがちな話を、深くたのしく伝えていく。→note

名アニメーター森田宏幸が手がけた
もうひとつの『耳をすませば』

『猫の恩返し』劇中写真
© 2002 Aoi HiiragiReiko YoshidaStudio Ghibli NDHMT

女子高生の吉岡ハルは、ある日・黒猫のルーンを助ける。ルーンは猫の王子で、ハルは彼を助けたお礼に、猫の国から奇妙なプレゼントを受け取る。その後、猫の国から招待され、王子の妃にされそうになるが、猫の男爵・バロンや他の仲間たちの助けを得て、人間界に帰還する。

本作は、1995年公開のスタジオジブリ作品『耳をすませば』のスピンオフ的作品で、同作の作者である柊あおいの漫画『バロン 猫の男爵』が原作になっている。物語は「『耳をすませば』の主人公・月島雫が書いた物語」という設定で、バロンやルーンは『耳をすませば』にも登場する。公開時は、興行収入は64.8億円を記録し、2002年の邦画1位になるほどの大ヒットを記録した。

本作の制作は、某テーマパークから来た「猫をモデルにしたオリジナルキャラクターが登場する短編作品」という依頼がもとになっている。そこで、宮崎が柊に原作漫画をリクエストしたが短編では収まらなくなり、結局長編として映画化されたという。

なお、メガホンを取った森田宏幸は、既に『ホーホケキョ となりの山田くん』(1999)や『AKIRA』(1988)、『パーフェクトブルー』(1997) など、数々の名作アニメに参加してきたアニメーターだったが、本作が初めての監督作品となった。

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