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名作ぞろいの90年代アニメ映画…最高傑作は? 今こそ観るべき珠玉の作品5選。その輝きは永久不滅…素晴らしい作品をセレクト

今や日本のカルチャーの代名詞であるアニメ。1990年代はアニメを取り巻く状況が大きく変化した10年であった。テレビアニメは広告収益だけでなく「OVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)を収録したVHSを小売りする」ビジネスに変化していき、深夜アニメも一気に増えた。今回は90年代の名作アニメ映画を5本紹介。(文・ジュウ・ショ)

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【著者プロフィール:ジュウ・ショ】

フリーランスとしてサブカル系、アート系Webメディアなどの立ち上げ・運営を経験。コンセプトは「カルチャーを知ると、昨日より作品がおもしろくなる」。美術・文学・アニメ・マンガ・音楽など、堅苦しく書かれがちな話を、深くたのしく伝えていく。→note

日本アニメを海外に知らしめ、SF映画に多大な影響を与えた逸品

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995)

押井守監督
押井守監督Getty Images

上映時間:80分
監督:押井守
原作:士郎正宗
脚本:伊藤和典
キャスト:田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大木民夫、玄田哲章、家弓家正

【作品内容】

 舞台は近未来。電脳ネットワーク・肉体の義体化が高度に発達した世界で、事故から生還した世界最強の捜査官「少佐」はほぼ全身が義体化されていた。公安9課を率いる彼女は、凶悪なサイバーテロ犯罪に立ち向かうも、その最中に連続殺人事件に出くわす。事件を通して少佐は記憶を呼び起こされ、自身にまつわる真実を知っていく…。

【注目ポイント】

 言わずと知れた日本を代表するアニメ映画の金字塔である。監督は天才・押井守。

 押井守のアニメ映画作家としての評価を不動のものにしたのは、1984年の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』だった。それまでの『うる星やつら』とはまったく違う、シュールで不可思議な世界観は、原作ファンのみならず、普段アニメに親しんでいない一般の映画ファンも熱狂。哲学者・批評家の東浩紀をはじめ、本作からの影響を公言する他分野のプロフェッショナルも少なくない。

 そんな押井守が『機動警察パトレイバー2 the Movie』(1993)の発表後に手がけたのが本作だ。企画の発端は、押井が本作のプロデューサーを務めた石川光久に『犬狼伝説』のOVAの企画を持ち込んだところ、士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』のアニメ化に話が発展したらしい。

 ちなみにアニメオタクのみなさんはご存じだと思うが、石川光久も90年代のアニメを語るうえで外せない重要人物だ。鈴木敏夫からジブリの社長を打診されたほどの敏腕プロデューサー、経営者である。
 
 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の偉大さを語る上で外せないのは「海外人気」だろう。アメリカでは週間ビデオ売り上げ1位を記録。本作によって海外にその名を轟かせた押井は、続編である『イノセンス』(2004)を第57回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品する。日本のアニメーション作品がカンヌのコンペ部門に選出されるのは史上初であった。

 本作が影響を与えた人物には、他分野のプロフェッショナルのみならず、海外の映画作家も含まれる。『ターミネーター』のジェームズ・キャメロンや、『マトリックス』のウォシャウスキー姉妹など、革新的なSF映画を生み出した映画作家たちもことあるごとに本作へのリスペクトを口にしているのだ。

 2017年にはスカーレット・ヨハンソン主演で実写化もされている。日本アニメのクオリティーを世界に知らしめた、記念碑的な作品だと言っても過言ではないだろう。

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