“恋愛ドラマあるある”を覆したズルい男
『9ボーダー』高木陽太(木戸大聖)
大庭三姉妹の幼なじみの陽ちゃんは、とにかくズルかった。10個下の八海(畑芽育)に想いを寄せられているのだが、当の本人は彼女のことを“妹的存在”としてしか見ていない。そのため、無意識かつ自然に沼行動をしてのけるのだ。
たとえば、八海が鼻にソフトクリームをつけてしまって焦っていると、自分の手拭いを使ってササっと拭いてあげる。普通にティッシュで拭いてくれたとしてもキュンとするのに、“自分の手拭いで”というところが本当にズルい! さらに、拭き終えたあとは「赤ちゃんかよ」と微笑みかける。これはもう、沼落ち不可避である。
また、お兄ちゃん的視点から、いろいろアドバイスを送ってくるところもズルかった。八海が家出をしたとき、姉たちは「放っておけばいい」と言っていたのに、陽ちゃんは「俺が行く」と追いかけてくれる。さらに、「うちの店、奥に休憩用の部屋あんだろ? 今度、家出したくなったらそこにいろ。あっんまフラフラすんな。心配すんだろ?」と家族のように大事に想っているがゆえのお叱りまで。
正直、八海の長年の片想いは実ってほしかったし、てっきり実るものだと思っていた。「妹のようにしか見てなかったから驚いたけど、これからは1人の女性として見てみる」とかナントカカントカ言って、最終的に結びつくのが、恋愛ドラマあるある。だけど、陽ちゃんは告白されたからといって、すぐになびいたりしない。そういうところも、モテてきた男の余裕というか。大人っぽさを感じてキュンとした。