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青春の生々しさを感じる

『GO』(2001)

そいつどいつ・市川刺身
写真:Wakaco

ーーーこちらも窪塚洋介さん主演の名作です。

「くどいようですが、窪塚洋介さんがめちゃくちゃ好きで。学生時代に喋り方を真似したりしていたことを思い出します(笑)。昔、深夜に窪塚さんが何かに密着して探るという、一風変わったドキュメンタリーがやっていました。その番組は、この『GO』をちょっと匂わせている雰囲気があったように思います。

原作者の金城一紀さんは、『レボリューションNo.3』など映画化されていない作品もそうですが、在日の方をテーマにした作品が多いです。何にしろ、超名作ですね。映画館で観たわけではなく、実家に住んでいた時に、テレビで放映されているのを何となく観たのが最初です。観始めたら、釘付けでずっと見てしまって。

行定勲監督のテンポ感や絵の作り方がすごく心地よくて。最初のバスケのシーンからずっとそう感じました」

ーーーテーマの重さとスタイリッシュさが共存していますよね。

「『人種問題、ふざけんな』的なメッセージ性を込めつつも、ファンタジー要素もあるというのがいいですね。冒頭のシーンから主人公・杉原(窪塚洋介)の生い立ちに遡る流れも大好きです。その流れでヒロインの桜井(柴咲コウ)とはクラブで知り合うのですが、実は、それ以前に見かけたことはあったという演出も素敵です。キャラクターの名言もすごく多いですし、バイオレンス描写も含めて青春の痛々しさを感じますね」

ーーー20代のころの窪塚さんのエネルギーが迸っていますね。

「はい。杉原の友達の息子がパーティーをやっているというので行くんですけど、うるさいからイヤホンをつけて落語を聞いている描写なんかも、憧れましたね。『なんか、カッコいい!』って(笑)」

「結構、今のドラマなどで、昔の窪塚さんのような演技をしている役者さんをよく見かける気がします。例えば、ヤンキー映画においては『池袋ウエストゲートパーク』におけるタカシのような雰囲気のキャラであったり」

ーーー後続への影響は、計り知れないですよね。

「ええ。だからもう、歴史に名を残した人ですよね、すでに。あと、杉原の父親(山崎努)が杉原をボクシングで倒すんですけど、その時に杉原の足を踏んでいるとか、そういった演出もたまらないんですよね。

エンディングで、The Kaleidoscopeの『幸せのありか』という曲が流れるんですけど、当時、これまたバカガキだったからわからなかったのかもしれませんが(笑)、音源が入手できなかったんです。それで、数年後にamazonで中古を取り寄せて買って、初めて『オールナイトニッポン0』(ニッポン放送)をやらせていただいた時、最後に流させていただきました」

ーーーそれは、感慨深いですね! 刺身さんの感受性の豊かさが垣間見れます。あと、刺身さん、行定勲監督作の『劇場』(2020)に出演されていますよね?

「そうなんです! この映画以降、行定監督が好きになり、幸運にもオーディションで、行定監督の前でお芝居する機会があったんです。 行定監督はオーディションの僕のお芝居をすごく褒めてくれて、セリフ一言で空気が変わる凄く良い! セリフ一言の役なら役者として飯食っていける! まぁセリフ一言の役ってそんなにないけど! と優しく言ってくださりました。

結果、映画にも出演させていただき、下北沢の映画館での上映後のアフタートークに行定監督と2人で出演させていただけてすごく嬉しかったですね」

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