葉子(松たか子)に押し寄せる、知らなかった事実
カフェで店長をしていた都子が突然仕事を辞め、韓国に行くと言い出したことをきっかけに、葉子の知らなかったことが次々と明らかになる。都子には韓国人の恋人ユンス(チュ・ジョンヒョク)がいて、彼と釜山で飲食店をオープンするというのだ。
潮は葉子が担当する作家の百目鬼(星野源)と取材で知り合い、いつの間にか交際していて、一緒に暮らすことを検討していた。だが、潮が独り身の姉を置いていくことに躊躇しているため、葉子は百目鬼の勧めで婚活することになる。
印象的だったのは、葉子が婚活アプリで出会った男性(宇野祥平)の「あなた、孤独じゃないんですよ。だから、簡単に言えるんです。一人でも生きていけるって、独りじゃないから言えるんです」という台詞だ。
その言葉通り、葉子は孤独とは無縁だった。両親を早くに亡くし、独身で子供もいないけれど、都子と潮がいて、仕事もやりがいがあって、十分満たされている。だけど、世間は勝手にジャッジしたがるもので、葉子は一人というだけで「寂しい人」、「結婚しないのも何か理由があるに違いない」と思われてきた。
それを葉子自身、利用したこともある。葉子にはかつて目黒(井浦新)という結婚を考えたことのある恋人がいたが、互いの大切にしているものを傷つけ合ったことで破局した。だが、そのことを他人に説明したくもなかったし、説明したとして理解してもらえるとも思わなかったから、幼い妹と弟がいることを理由にしたのだ。